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大阪へ行ったらいつか大阪寿司(ずし)を食べたいと願っていた。
あれは、夏のことだった。まだ東京・原宿に仕事場があって、あの年はやたらと忙しかった。出版点数が多く、やってもやっても仕事が終わらない。土曜日も出社していて、お昼になって何かちょっと、でも短い時間でふだんとは違うおいしいものを食べたいと思ったのだった。
なぜ、その店に行こうと思ったのか。自転車に乗って明治通りを渋谷方面に走った。そしてふと入ったのが「八竹」だった。もう9年も前の話だ。とにかく店が暗くて、渋くて、かっこいい感じだった。うす暗がりのショーウインドーから、テークアウトで茶巾寿司や箱寿司(押し寿司)、黄身寿司(黄身あんがコハダに乗ったお寿司)などを選んで仕事場に戻った。仕事場のテーブルで、原宿のけんそうを聞きながら、大阪寿司をのんびりい…
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