東日本大震災後、岩手、宮城、福島の3県で、災害公営住宅(復興住宅)に暮らす人たちの孤独死が200人を超えた。被災者の社会的孤立を防ぐため、住民同士で作る自治会の役割が重要になる。しかし「個人情報」の壁や仮設住宅との住環境の違いに阻まれ、新たなコミュニティーづくりに苦慮するケースが各地で目立つ。
仙台市若林区の復興住宅「荒井東市営住宅」で昨年12月27日、死後数カ月たった60代の男性の遺体が見つかった。玄関先に郵便物がたまっているのを不審に思った住民が警察に通報した。男性は独居で町内会(自治会)に加入しておらず、近所付き合いはなかった。
「男性の存在を把握していれば、悲劇を未然に防げたのでは」。この自治会の会長、庄司宗吉さん(83)は悔しがる。2014年に入居を開始し、約150世帯が暮らす。庄司さんは男性の孤独死を受け、市に「新しい入居者の年代や同居者数だけでいいから教えてほしい」と情報提供を求めたが、個人情報を理由に断られた。
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