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芳賀正彦(はが・まさひこ)さん(72)
「うつむくな」「立ち上がれ」。たき火がそう励ましてくれたように映った。2011年3月11日、東日本大震災による津波で大きな被害を受けた岩手県大槌町の沿岸部・吉里吉里(きりきり)地区。失意のどん底に突き落とされて眠れぬ夜だった。
避難所だった小学校校庭の片隅で、がれきから集めた廃材が燃やされていた。びしょぬれの被災者が暖を取るたき火。向き合うと心が落ち着いた。見えない何かの力が働いて生かされたと受け止め、「残された命を誰かのために。もう被災者と思うまい」と誓った。
仲間たちと廃材から薪(まき)を作った。薪を割る一瞬だけ、つらさは吹き飛んだ。「復活の薪」と名付けて販売した。海水をかぶって枯れる運命の木を伐採した。やがて間伐材を切り出して森林を再生する「復活の森プロジェクト」として定着した。
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