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国立がん研究センター東病院で患者相談に携わる、坂本はと恵さんが、がん患者やその家族に向けて、役立つ情報や支えとなる話をつづります。

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喪失体験を乗り越えて=国立がん研究センター東病院 がん相談統括専門職 坂本はと恵

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、New Normalという言葉をよく耳にします。「新しい生活様式」という意味で用いられていますが、もともとは経済業界の言葉のようです。経済危機に伴い生じた避けがたい変化を「新たな常態・常識」と表現しているそうです。

 この言葉を耳にする度、私は、がん患者さんの生活や価値観の変化を思い出します。がん告知や再発などの悪い知らせは「患者の将来への見通しを根底から否定的に変えてしまうもの」(カナダのロバート・バックマン医師)と言われるほど、その衝撃は計り知れません。

 一方で現在、がん治療の進歩により患者さんの10年生存率は57・2%に上ります。患者さんは、どのようにして治療に伴うさまざまな喪失体験を乗り越え、新たな自分らしさ、新たな日常生活を見いだしているのでしょうか。さまざまな研究がありますが、共通して報告されているのは、他者との重要な関係の構築、達成可能な目標の設定、それまでの人生の回想、価値観の肯定が重要だということです。

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