「水中ドローン」で目指せ災害支援 水産高生が潜水ロボ製作

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水産高生が作った潜水ロボットによる災害支援を目指す後藤慎平・東京海洋大助教=東京都江東区の同大で2020年12月1日午後0時44分、荒木涼子撮影
水産高生が作った潜水ロボットによる災害支援を目指す後藤慎平・東京海洋大助教=東京都江東区の同大で2020年12月1日午後0時44分、荒木涼子撮影

 「水中ドローン」と呼ばれる潜水ロボットで災害からの復旧を支援しようと、海洋研究者と水産高校がタッグを組んだ。港に沈むがれきを見つけて船の接岸を手助けするため、水産高生が潜水ロボットを作って操作する。その活動が第一歩を踏み出した。

 遠隔操作型の無人潜水ロボットは英語で「Remotely operated vehicle」。国内の研究者の間では、その頭文字から「ROV(アール・オー・ブイ)」と呼ばれる。水中では無線が使えないため、本体とコントローラーを数十~数百メートルのケーブルでつなぎ、船上や岸壁から操作すると、海中を自由に航行する。研究機関のものの中には、水深200メートルでも簡単に潜れるものもある。

 高潮や津波などの災害直後、港湾内の海底にはがれきなどがたまることがある。1995年の阪神大震災の時には、支援物資を積んだ船が神戸港沖に到着するも、海面下の岸壁がどのように壊れているかが確認できず、長時間入港できなかった。2011年の東日本大震災では、沖合の自衛隊の支援船が気仙沼港(宮城県)に近づけず、乗下船をヘリコプターに頼らざるを得なかった。

 港湾の海中の安全確認はダイバーのほか、国の研究機関や大学、自治体のROVがしていたが、迅速さや操作技術の継承に課題があった。そこで、東京海洋大助教で海洋電子機械工学が専門の後藤慎平さん(37)は、ROVの組み立てから操作までを水産高校に取り組んでもらおうと考えた。

 水産高校は、北海道から沖縄県まで全国に46校ある。教諭には、海運会社や港湾関係の出身者も多く、災害時にROVによる貢献を模索する声を聞いていたからだ。

 各地の水産高校に広がれば、…

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