神戸から被災地へ「元気メール」5万通 教科書に載った73歳が語る生きる力
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地しんからおよそ五か月。子どもたちをはげますためにかかれた絵手紙が小学校にとどけられました――。
神戸のあるボランティアの取り組みが2020年、小学3年生の道徳の教科書に載った。瓜谷幸孝さん(73)が阪神大震災(1995年)後に始めた「元気メール」だ。四半世紀、国内外から寄せられた手紙やはがきを各地の被災者に5万通以上、届けてきた。自身も震災で生きがいだった会社を失ったが、活動に生きる力を得てきた。書く人、受け取る人、届ける人、それぞれの背中を押してきたメールが後世に続くように。瓜谷さんはそう願っている。【反橋希美】
元日の昼下がり。「こんなゆっくりする正月、初めてや」。神戸市垂水区の復興住宅で1人暮らしの瓜谷さんはおせちをつまみながら、少し寂しそうに笑った。96年から元日はほぼ毎年、朝にひと風呂浴びると被災地へ赴き、集めた年賀状を手渡してきた。今年は20年7月に豪雨被害を受けた熊本県球磨村などの仮設住宅に約260通を届ける予定だったが、新型コロナウイルスの影響で断念し、現地の支援者に届けてもらった。
近所付き合いはなく、緑が彩る玄関先に表札もない。月14万円の年金生活の中、配達は年に1度の楽しみでもあった。
励ましのファクスがきっかけ
26年前、瓜谷さんは神戸港で通関手続きの会社を経営しながら、アジアの子どもたちを支援する神戸市のNGO「アジア・アフリカ環境協力センター(アセック)」の理事長を務めていた。95年1月17日の早朝、大きな揺れで、母と住んでいた同市長田区の長屋は潰れた。2時間生き埋めになり、胸の骨にひびが入った。母は無事だった。
翌日、ぼうぜんとして向かった会社で、床に落ちたファクス紙に目が留まった。「一方有難、八方支援」。かつて物資を送った中国の県知事から寄せられた「誰かが困った時は、皆で助ける」という意味の言葉だった。
ファクスはカタカタと支援を申し出る国内外からのメッセージを出し続けていた。全身に血が巡るのを感じた。「一生忘れへん。俺も他…
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