豊田章男社長の一声でカーレースに転身 元ラグビー選手の胸の内
毎日新聞
2021/6/1 11:42(最終更新 6/11 11:34)
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カーレースの世界に新風を吹き込む2人の元アスリートがいる。ラグビー選手から自動車レースのメカニックへ。転身のきっかけは、トヨタ自動車の豊田章男社長だった。畑違いの分野で歩むセカンドキャリア。どんなやりがいがあるのだろうか。【大谷津統一】
レースは無縁の世界
マシンがサーキットのピットに止まり、勝負は始まる。電動のレンチでホイールのボルトを緩め、タイヤを取り外し、新たなタイヤを装着してボルトを締める。タイヤ交換の時間は10秒足らず。1000分の1秒を争うカーレースでは、順位を大きく左右する。
「ラグビーの試合は80分間あるので、ミスが起きても挽回するチャンスは自分次第でいくらでも出てきます。レースの世界は一つのミスが取り返しのつかないことになるので、緊張感がラグビーとは全く違います」。黒宮裕介さん(34)はそう語る。今春、レーシングチーム「ルーキーレーシング」で、タイヤの管理と交換を担当するメカニックとしてデビューした。
黒宮さんはトヨタ自動車のラグビー部で活躍した元選手。現役時代は司令塔のスタンドオフで、正確なキックに定評があった。6年前に引退した後は、試作部で車のボディーの溶接などの業務に当たってきた。「ラグビースクールで小学生に4年ほど教えていましたが、自分がトレーニングしたり試合に出たりすることは全くなかった」と言うものの、たくましい上半身は選手時代と変わらない。
メカニック転身のオファーが舞い込んだのは昨年…
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