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前回までのあらすじ
小学校の最後の数カ月間、山田詠美さんには放課後を一緒に過ごす仲間たちができていた。最後にそれぞれの家で順番にお別れパーティを開き、闇鍋やカルメ焼きを楽しんだ。山田さんの家では、雨戸を閉めきって、レコードで即席のディスコを開設。両親も交えて踊りまくった。
「頭でっかちからの脱出」
困難から逃げる手段としての読書は、やがて、日常の習慣となった。本を読むことが好き、というよりも、必要だ、と強く思った。私を色々な意味で助けてくれる。屈託なくクラスの子たちの輪に入って行ける性質(たち)ではなかったから、心許(もと)ない気持ちになることもしばしばだったが、ま、いっか、家に帰れば読みかけの本があるし、と自分に言い聞かせた。
それに、中学に入ってからは、本だけではなく、色々な世界が私の前に広がりつつあったのだった。音楽や絵画などである。
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