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焼き上がりしっとり、きめ細か
くにひろ屋(広島県府中市上下(じょうげ)町)の「洋酒ケーキ」は、ラム酒と2種類のブランデーを使ったシロップがたっぷりと染み込んだカステラ菓子だ。
誕生したのは1961年。尾道の洋菓子店で修行した先代の曽根利之さん(故人)がフランスの焼き菓子を参考に開発した。「当時はまだ、まんじゅうにお茶の時代。当初はさほど売れなかったようです」と社長の前原浩一さん(60)。曽根さん夫妻は材料を選んで改良を続け、今の味にたどり着く。食文化の洋風化が進んだことも追い風に、香り豊かな大人の味は上下町民に愛され、定番になっていった。
2005年、転機が訪れた。高齢になり廃業を考えていた曽根さんから、前原さんが事業を引き継ぐことになった。曽根さんの店の隣で食料品店を営み、洋酒ケーキも販売していた前原さんにとって「自分と同じころに生まれ、幼いころから親しんだ逸品。なくしてはいけない」との思いだった。
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