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コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻と、外国の演奏家が来日しにくい状況が続く。3月18日から4月19日まで東京・上野かいわいで開かれた「東京・春・音楽祭」も、関係者の苦労はいかばかりであったろうか。
コロナ感染対策上、声楽がいちばん公演しにくいが故に印象度が強い、という背景を割り引いても、音楽祭の中でワーグナーの楽劇≪ローエングリン≫は、声の魅力を際立たせた(3月30日、東京文化会館)。
ブラバント公国の継承を巡って奸計(かんけい)に陥れられたエルザを、白鳥に引かれて登場する騎士、ローエングリンが救済する夢幻的なストーリーは、どのような演出、舞台美術をつけるかが見せどころになる。それいかんで観客は陶酔もするし興ざめもする。今回のように演奏会形式では魅力が半減すると思っていたが、そうではなかった。ワーグナーがいかに精緻に声を組み合わせているか、改めて気づかされた。傑出していたのは低…
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