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五輪組織委、相撲協会…内向き「宇宙」を外から見ると

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新型コロナウイルスの感染拡大前はよく足を運んだという東京・両国国技館で、横綱・白鵬(当時)を応援する作家の星野智幸さん=本人提供
新型コロナウイルスの感染拡大前はよく足を運んだという東京・両国国技館で、横綱・白鵬(当時)を応援する作家の星野智幸さん=本人提供

 宇宙はどんな形をしているのか。2006年に100年越しで証明された難問「ポアンカレ予想」が数学者を長年悩ませたのは、宇宙は外から見ることができないから――。そんなドキュメンタリー番組を見て、思った。日本のスポーツ界も内側で取材するだけでなく、外側から見る必要があるのではないか。一人の作家を訪ねた。

力士に向けられた「ヘイトスピーチ」

 「日本の社会は変化を嫌う。その風潮が東京オリンピックや大相撲を支えてきた。競技は違うが、声が大きく、人事にたけた人物が運営する家父長的な構造に変わりはない。大会組織委員会と日本相撲協会は体質が見事なまでに同じだ」

 そう語るのは、ジェンダーやセクシュアリティー、民族・国籍など属性によって線引きする社会を批判的に見つめてきた星野智幸さん(57)。スポーツにも詳しく相撲やサッカーを題材にした小説も多い。

 星野さんが真っ先に話題にしたのが、子どもの頃から応援する大相撲だ。7月の名古屋場所はモンゴル出身の逸ノ城が悲願の初優勝。1972年名古屋場所で、米ハワイ出身の元関脇・高見山が外国出身力士として初優勝してから50年の節目だった。外国出身力士の幕内優勝は15人目となる。「外国にルーツを持つ、新たな優勝力士が生まれた。逸ノ城には横綱になってほしい」

 星野さんが外国出身の力士に目を向けるのは、気がつけば大相撲がヘイトスピーチの現場となった時期があるからだ。久しぶりに国技館で相撲を観戦した15年初場所13日目。横綱・白鵬(現・宮城野親方)が「昭和の大横綱」と呼ばれた大鵬の記録を超える33回目の優勝を懸けた一番だった。相手は当時、大関だった稀勢の里(現・二所ノ関親方)。場内から聞こえた「日本人力士、頑張れ」の声に強い違和感、憤りを覚えた。

 モンゴル出身力士へのバッシングはさらに高まり、「モンゴルへ帰れ」のやじが飛んだこともあった。16年に施行されたヘイトスピーチ解消法が定める、国籍、人種、民族などを理由とした「差別的言動」そのものだった。

 最近は露骨な物言いこそ減ったが「日本人ファースト」の風潮は残る。星野さんは…

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