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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から2年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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ウクライナ「陽動作戦」成功 要衝イジューム奪還 動き始める戦線

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ウクライナ東部ハリコフ州ホプティフカに進軍したウクライナ軍=ウクライナ国防省が9月11日に投稿したツイッターから、ロイター
ウクライナ東部ハリコフ州ホプティフカに進軍したウクライナ軍=ウクライナ国防省が9月11日に投稿したツイッターから、ロイター

 ロシアの侵攻を受けるウクライナは、東部の要衝イジュームを奪還し、さらにハリコフ州の大半の地域を取り戻した。南部で反転攻勢を進める構えを強調し、混乱したロシア軍の隙(すき)を突く「陽動作戦」に成功した。両軍の間で膠着(こうちゃく)してきた戦線が動き始めている。【大前仁】

ロシア軍、ドネツク全域制圧は難しく

 ロシア軍の侵攻が始まってから200日目を迎えた11日。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ビデオ演説で、東部や南部の地名を挙げ「あなたたちは一歩一歩、全ての前線や都市や村で(ロシア軍に)食らいついている」と前線の部隊を鼓舞した。

 特にイジュームは、ロシア軍が制圧以降、南東部ドネツク方面に向けた物資輸送の拠点としてきたため、ウクライナがここを取り戻した意義は大きい。米国のシンクタンク「戦争研究所」は、イジューム奪還によってロシア軍がドネツク全域を制圧することは難しくなったと分析した。露軍はイジュームからの撤収の理由を「部隊の再配置」としているが、戦争研究所は「周辺を包囲される事態から逃れるため大急ぎで逃げ出した」と指摘。ウクライナ軍の作戦は成功した。

 成功の秘訣(ひけつ)は、露軍の虚を突く陽動作戦にあった。ウクライナ軍は8月29日、ヘルソン州など南部の奪還に向けた作戦を開始したと発表。その後にゼレンスキー氏が南部の2集落を解放したと表明し、この方面での軍事作戦に力を入れる姿勢を強調していた。

 ところが、わずか1週間後にハリコフ州での反撃にも着手。南部の支配地域の防御に力を注ごうとしたロシア軍は混乱し、敗走を余儀なくされた。戦争研究所によると、ウクライナ軍は今月6日からの5日間で、東京都の面積の1・3倍に当たる約3000平方キロの解放に成功した。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT、電子版)は、今回の陽動作戦について「20…

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