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安倍晋三元首相銃撃

2022年7月8日、演説中の安倍元首相が銃撃され、死亡しました。その後の「国葬」にも疑念が…。

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安倍元首相国葬 佐高信さんと「現場」を歩く 強まる「国家」の存在感懸念

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安倍晋三元首相の国葬で、追悼の辞を述べた岸田文雄首相=東京都千代田区の日本武道館で2022年9月27日午後2時39分、宮武祐希撮影
安倍晋三元首相の国葬で、追悼の辞を述べた岸田文雄首相=東京都千代田区の日本武道館で2022年9月27日午後2時39分、宮武祐希撮影

 日本武道館(東京都千代田区)で27日に行われた儀式を巡り、改めて考えたいことがあった。安倍晋三元首相の国葬強行はこの国にいかなる禍根を残すのだろう、ということだ。国葬当日、これまで首尾一貫して「安倍政治」を批判してきた評論家、佐高信さん(77)と一緒に「現場」を歩きながらヒントをもらうことにした。

 国葬が始まる15分ほど前、佐高さんと私は一般献花台のある九段坂公園の向かい側の歩道にいた。九段下駅方面へ、坂を下って歩いてみた。車道には警備の車両がずらりと並び、わずかな車両の隙間(すきま)から献花台をのぞく人々が立ち止まっている。「意外に通れるね。警察官はいっぱいいるけど、なんかスカスカな感じ」と佐高さん。「スカスカ」の真意を尋ねると、岸田文雄首相らが思ったほどには人々は踊らされていない、主要7カ国(G7)から参列する首脳もいない、とつぶやいたのである。

 九段下駅に近づくと、国葬反対を掲げるデモ隊のコールや演説で騒然とし、警察官ともみ合う様子もあった。時に殺伐とした空気を吸いながら、坂の上で献花に並ぶ長蛇の列を眺めていると、国葬賛成、反対に分断された社会の「傷」を実感する。佐高さんは「分断と言うけれどもね、お互いがちゃんと討論しているわけではない」と話し、自民党の二階俊博元幹事長の先日の発言を挙げた。国葬に賛否両論がある現状に関して「黙って手を合わせて見送ってあげたらいい。議論があっても控えるべきだ」との一言だ。「ものを言うな、と。賛成派は反対派に、沈黙を強いているわけだよね」と佐高さんは口をへの字に結ぶ。

 残念ながら社会にはさまざまな格差があり、分断は確かに存在する、と佐高さんは言う。分断をなくそうと努めるのが政治の役割であるはずなのに、今の政治は逆に分断をあおり、反対意見を封じ込めている、ということだ。

 そんな話をしていると「ドン、ドン」と大きな音が鳴り響いた。…

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