本・書評
-
Interview
山野辺太郎さん(作家) 「生死超えた存在に憧れ」 新刊刊行、山野辺ワールド凝縮
2023/5/31 13:08 1860文字日常と非日常、現実と空想、生と死――。作家の山野辺太郎さんの紡ぐ物語は、自明と思える境界を言葉によって軽やかに越えていく。平明で親しみやすい文章が、リアリズムと奇想をユーモラスに接続する。新著『こんとんの居場所』(国書刊行会)には、そんな山野辺さんのエッセンスが詰まった中編小説2編が収録されている
-
「とくし丸」雑誌発行 買い物難民向け8月から 徳島の運営会社、地域情報や時事など掲載 /徳島
2023/5/31 05:42 577文字近所にスーパーがなく日常の買い物に困る全国の高齢者らを支える移動スーパー「とくし丸」の運営会社(徳島市)が、8月から雑誌を発行する。主な客層である80歳前後の読者を想定し、各地域の話題や社会的なトピックスを掲載する。創業者で雑誌の編集長を務める住友達也さん(65)は「買い物難民は情報難民でもある。
-
「奈良の謎」もっと深掘り 12テーマ差し替え改訂版 魅力再発見、県民も読んで!! ソムリエの会 /奈良
2023/5/31 05:39 832文字NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」が、地元の歴史などを扱った書籍「奈良『地理・地名・地図』の謎 意外と知らない“まほろば”の歴史を読み解く!」(実業之日本社)の増補改訂版を出版した。2014年の旧版に掲載したトピックス78本のうち12本を新たなテーマに差し替え、残る66本も情報を更新した。【村
-
ブックキャンプ、犬山図書館表彰 国、優秀実践校に /愛知
2023/5/31 05:33 533文字愛知県犬山市の犬山市立図書館が、文部科学省の2023年度「子供の読書活動優秀実践校」に選ばれ、大臣表彰を受けた。全国的にも珍しい「キャンプ」をイメージした子供向け読書空間「ブックキャンプ」を21年3月にオープンさせ、積極的な子供の読書推進活動が評価された。 ブックキャンプは、子どもや大学生らがアイ
-
日本エッセイスト・クラブ賞に伊澤理江さん、吉原真里さん
2023/5/30 18:43 118文字第71回日本エッセイスト・クラブ賞は30日、伊澤理江さんの「黒い海 船は突然、深海へ消えた」(講談社)と吉原真里さんの「親愛なるレニー レナード・バーンスタインと戦後日本の物語」(アルテスパブリッシング)に決まった。賞金は各30万円。
-
-
地域おこし、ミニ独立国の先駆け 「新邪馬台国」歩み、本に 前宇佐市議・高橋さんが出版 /大分
2023/5/30 05:43 1087文字1980年代に全国でブームとなった地域おこし運動、ミニ独立国の先駆けだった宇佐市の「新邪馬台国」の歩みを振り返る書籍「新邪馬台国建国50年史 上巻」を、前宇佐市議の高橋宜宏さん(71)が梓書院(福岡市博多区)から出版した。構想から10年間の激動の時期を描いており、リーダーだった高橋さんは「地域おこ
-
李良枝、未完の大作『石の聲 完全版』刊行
2023/5/29 13:03 695文字37歳で急逝した作家、李良枝(イヤンジ)(1955~92年)の未完の大作『石の聲(こえ) 完全版』が講談社文芸文庫から刊行された。全10章で構想された長編は、死後第1章が文芸誌に発表され、その後単行本化。草稿として残った2、3章は93年刊行の全集に収録されていたが、今回1~3章がまとまって文庫化さ
-
今週の本棚・次回の予定
6月3日の毎日新聞書評欄は『台湾漫遊鉄道のふたり』ほか
2023/5/29 11:00 568文字6月3日の毎日新聞朝刊「今週の本棚」で掲載予定の本の主なラインアップを紹介します。 ①川本三郎さん評『台湾漫遊鉄道のふたり』(楊双子著、三浦裕子訳・中央公論新社) ②岩間陽子さん評『鉄のカーテンをこじあけろ NATO拡大に奔走した米・ポーランドのスパイたち』(ジョン・ポンフレット著、染田屋茂訳・朝
-
宮本輝さんが新刊で描いた「よき時」 闘病を経て問う生と死
2023/5/28 10:00 2275文字きっかけは主人公に届いた1通の手紙だった。そこから「まったく予期せぬ展開が始まった」と作家の宮本輝さん(76)は苦笑いする。ある一家の晩餐(ばんさん)会をめぐる最新長編『よき時を思う』(集英社)は、執筆中に大きく構想を変えたという。その筆を導いたのは、手紙の送り主である90歳の徳子おばあちゃん。数
-
ジュエリー685点、一冊に アンティーク店経営・伊藤さん /愛知
2023/5/28 05:06 472文字名古屋市と東京でアンティークショップを経営する伊藤美也子さん(62)が30年余に渡って買い付け、収集したジュエリーの数々を一冊の本にまとめた。タイトルは店の名と同じ「ミアルカ」だ。 「骨とう品の向こうには人々の生活社会史が見える。ジュエリーも例外ではない」と伊藤さんは言う。 緑のペリドットと紫のア
-
-
北陸記者リポート
福井・書店残す取り組み 出版の不況、会費で支援 /福井
2023/5/28 05:05 1524文字福井県内最大のショッピングモール「フェアモール福井(通称・エルパ)」の一角に約50坪、明るい色の木の棚が並ぶ開放的な書店がある。「AKUSHU BOOK&BASE(アクシュ・ブック・アンド・ベース)」だ。紙の出版不況もあり、2022年夏に一度閉店が決まりながら、モールの運営組合が直営に乗り出して同
-
日吉校舎から見た戦争 慶応高校長、歴史書を出版 学生らの手記たどり、8年かけ活写 /神奈川
2023/5/28 05:04 1303文字慶応義塾日吉キャンパス(横浜市港北区)にはかつて地下壕があり、旧海軍の連合艦隊司令部が置かれていた――。こんな歴史に触れたのを機に、慶応高の阿久澤武史校長がこのほど「キャンパスの戦争 慶應日吉1934―1949」(慶応義塾大学出版会、2970円)=写真=を上梓した。日吉キャンパス完成の1934年か
-
村上春樹さん単独インタビュー 「壁」が大きな意味持つ 米ウェルズリー大で新作と現代を語る
2023/5/28 02:01 2910文字<文化の森 Bunka no mori> 作家の村上春樹さんは、特別客員教授として招かれ滞在中の米ウェルズリー大で4月下旬、毎日新聞の単独インタビューに応じた。前日に同大で「疫病と戦争の時代に小説を書くこと」と題する講演を行った村上さんは、大学での活動や講演の意図、同月刊行した新作長編小説『街とそ
-
物語の力、信じて 村上春樹さん 「疫病と戦争の時代」テーマに講演
2023/5/28 02:01 905文字<文化の森 Bunka no mori> 講演は、ウェルズリー大に滞在中の村上さんによる最大のイベントで、英語で行われ、学生や教員ら約900人が熱心に耳を傾けた。最初に、米国で小説『ねじまき鳥クロニクル』(1994~95年)を執筆した際の思い出を話し、「随分たって、ここに帰ってくることができ、うれ
-
「戦争と疫病はキーワードに」 村上春樹さん単独インタビュー/下
2023/5/27 11:00 4488文字米ウェルズリー大に特別客員教授として滞在中の4月28日、作家の村上春樹さん(74)が毎日新聞の単独取材に応じた。インタビューの後半では、刊行したばかりの新作長編小説「街とその不確かな壁」(新潮社、別項参照)について詳しく聞き、存分に語ってもらった。(インタビューの前編はこちらをお読みください)【構
-
-
20年かけ書道理論書を翻訳 毎日書道展会員・浅野さん 松江 /島根
2023/5/27 05:31 519文字松江市在住の書家で毎日書道展会員の浅野天童(あさのてんどう)さん(68)が「書法の形態と解釈」(白帝社、3960円)を刊行した。中国の書道理論家、邱振中(きゅうしんちゅう)さんの著書「書法的形態与闡釈」を約20年かけ翻訳した540ページの大著だ。 高校でフェンシングを指導していた浅野さんが本格的に
-
今週の本棚・なつかしい一冊
鈴木涼美・選 『新装版 なんとなく、クリスタル』=田中康夫・著
2023/5/27 02:01 1028文字(河出文庫 836円) アゲハのイベントでデュラスの浴衣を着ようと腰紐(ひも)を探したら見つからず、あえてクイーンズコートのワンピで行こうかとも思ったが、ちゃんと探したらラブボのショッパーにまとめて入れてあった。という2003年7月の私の無内容な日記は、その時代に東京で10代を謳歌(おうか)してい
-
今週の本棚
加藤陽子・評 『帝国図書館 近代日本の「知」の物語』=長尾宗典・著
2023/5/27 02:01 1415文字(中公新書・1012円) ◇人々の「知」の裾野を支える機関と実感 本と図書館が大好きな我らが同志にとって、たまらない本だ。 国会の隣にある国立国会図書館東京本館。この場所を知らない人でも、今やオンライン登録しさえすれば、約184万点のデジタル化済みの図書や資料が、自らの端末で全部読める時代となった
-
今週の本棚
養老孟司・評 『眠りつづける少女たち』=スザンヌ・オサリバン著、高橋洋・訳
2023/5/27 02:01 1335文字(紀伊國屋書店・2750円) ◇「身体を介した言語」社会を反映 著者はアイルランド出身の英国の神経科医で、主題は集団的に起こる心因性反応である。著者も注意するように、この場合の用語の使い方は難しい。うっかりすると読者に偏見を与えてしまう。古い人なら集団ヒステリーというかもしれない。はっきりした医学
-
今週の本棚
永江朗・評 『水車小屋のネネ』=津村記久子・著
2023/5/27 02:01 1329文字(毎日新聞出版・1980円) ◇姉妹とインコと周辺家族の40年 おかえり、ネネ。この本を手に取ったとき、ぼくは心のなかで呼びかけた。「ただいま」とネネの声が聞こえたような気がした。 この小説が本紙に連載されているあいだ、ぼくたち夫婦はネネと暮らしているような気持ちだった。小説で事件が起きるたびに「
-