本・書評
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栄に伝わる物語、絵本に 「雨降らせ、村人救った竜」読み聞かせ会 /千葉
2023/2/5 05:18 379文字栄町に伝わる竜の伝説の絵本が完成し、お披露目の読み聞かせ会が1月28日、栄町安食のふれあいプラザさかえで開かれた。子供と保護者ら約50人が参加、子供たちは「竜は優しいね」などと話しながら物語に聴き入っていた。 地元には奈良時代、日照り続きで苦しんでいた村人たちを雨を降らせて助け、すぐに印旛沼で死ん
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京都・読書之森
36時間 わたしの京都観光 12通りの1泊2日 /京都
2023/2/5 05:18 870文字<活字を楽しむ> (淡交社編集局編 淡交社、1980円) 1泊2日、36時間という限られた時間で、各界で活躍する通な「旅人」たちが、それぞれのテーマで訪れた京都を紹介する一冊。12人の旅人はそれぞれの関心やこだわりを持ってあちこちに足を運び、京の多彩な一面を教えてくれる。 「新感覚ガイドブック」と
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エンタメ小説・今月の推し!
ファンタジーの一撃 自由さ極まれり=内藤麻里子
2023/2/5 02:00 1035文字白石一文さんの『松雪先生は空を飛んだ』上・下巻(角川書店)は、文字通り空飛ぶ人間が登場する。めくるめくエンターテインメントであり、最後にガツンと一撃を浴びせてくる。 全14話で構成され、1話ごとに語り手が異なる。スーパーに勤める男性や、不実な男に翻弄(ほんろう)される女性らが、それぞれの人生を多彩
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「視覚障害と文学」巡り対談 マイノリティーが書く小説の可能性
2023/2/4 13:00 2394文字たとえば障害当事者といったマイノリティーが書く小説の可能性とはなんだろう。そんな問いを巡って「視覚障害と文学」をテーマに語り合うイベントが大阪市内で開かれた。登壇者は、全盲の文化人類学者で国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎さんと、大阪が舞台の小説を多く手がけてきた作家の柴崎友香さん。話題は大阪とい
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石牟礼道子長編『十六夜橋』 新版 ちくま文庫
2023/2/4 05:23 441文字<土曜カルチャー> 石牟礼道子の長編小説『十六夜橋』の新版=写真=がちくま文庫から刊行された。石牟礼65歳の時の作品で、自らの祖父母や両親などをモデルにした紫式部文学賞受賞作。1992年に径(こみち)書房より出版、99年、ちくま文庫として刊行された。今回は99年版を底本に、新版として復刊した。解説
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イ病、全面解決合意10年 被害は今なお 神通川、民衆の歴史 研究会が書籍化 /富山
2023/2/4 05:06 1316文字◇18日に初の自主講座も 四大公害病の一つ、イタイイタイ病(イ病)の原因企業と被害者団体が全面解決の合意書に調印して今年で10年。しかし、昨年新たに認定患者が出るなど、その被害は今も続いている。新たにイ病学の構築を目指して昨年発足した市民団体「イ病研究会」の向井嘉之幹事ら3人が1月、原因企業と民衆
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今週の本棚・なつかしい一冊
舛添要一・選 『ジョゼフ・フーシェ…』=シュテファン・ツワイク著、高橋禎二、秋山英夫・訳
2023/2/4 02:01 1001文字◇『ジョゼフ・フーシェ ある政治的人間の肖像』 (岩波文庫 1122円) 東大法学部で政治学を専攻し、研究者への道を模索していた頃に、山下肇氏の訳で、1929年にドイツ語で出版されたこの本を読んだ。50年前に出会った本書を書庫から引っ張り出して、ページを開くと、熱心に読んだ形跡がある。 副題にある
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今週の本棚
村上陽一郎・評 『証し 日本のキリスト者』=最相葉月・著
2023/2/4 02:01 1417文字(角川書店・3498円) ◇宗教への無関心、打開の扉を開く 徹底して現場に赴いて、人々の声を聴く。この著者の方法論が、これまで科学や医療などを対象にしてきたことから考えれば、今回は驚きを禁じ得ない方向に向かった。その向かう先は、日本におけるキリスト者である。沖縄から北海道まで、丹念に現地を訪れて、
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今週の本棚
堀江敏幸・評 『絵画とタイトル その近くて遠い関係』=ルース・バーナード・イーゼル著、田中京子・訳
2023/2/4 02:01 2102文字(みすず書房・8250円) ◇観る側の解釈、助けもすれば拘束もする 展覧会で絵だけを観(み)る人はほとんどいない。多くの場合、作品の脇の小さな掲示でタイトルや制作年、素材を確認し、数行の説明に目を通す。観客が多くて頭越しに眺めるしかなかった場合でも、印象に残ればあとから目録でタイトルを確かめる。こ
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今週の本棚・著者に聞く
堀越謙三さん 『インディペンデントの栄光』
2023/2/4 02:01 837文字◆堀越謙三(ほりこし・けんぞう)さん (筑摩書房・2200円) ◇独立系映画館、孤軍奮闘の歴史 東京・渋谷のミニシアター「ユーロスペース」を舞台に、製作・配給・興行という映画産業の主工程を独自に担ってきた。「映画の仕事でやったことがないものはない。いつも徹夜状態でした」と笑って振り返る。大手とは一
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今週の本棚・話題の本
『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』=和田靜香
2023/2/4 02:01 835文字フリーライターの小沼理(おさむ)さんが書いた『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』(タバブックス・1980円)は、とてもチャレンジングな日記本だ。 著者は30歳の男性で、15歳で日記を書き始めた。幼い頃から男性に惹(ひ)かれる自分に気づいていて、それを隠すための「整合性を保つことを最優
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今週の本棚・情報
ベストセラー
2023/2/4 02:01 157文字<1>荒地の家族(佐藤厚志著・新潮社) <2>審議官―隠蔽(いんぺい)捜査9・5―(今野敏著・新潮社) <3>いずれ最強の錬金術師? 14(小狐丸著・アルファポリス) <4>しろがねの葉(千早茜著・新潮社) <5>不死王はスローライフを希望します 4(小狐丸著・アルファポリス)(トーハン・文芸=1
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今週の本棚・編集後記
毎日新聞校閲センターの運営するウェブサイトが…
2023/2/4 02:01 162文字毎日新聞校閲センターの運営するウェブサイトが「毎日ことばplus」に一新されました。言葉や漢字に関心がある方、校正・校閲に携わっている方など、どなたでもご覧いただけます。無料の会員登録で、言葉の専門家による寄稿も読むことができます。2月末まではプレゼント企画も。アクセスをお待ちしています。(五)<
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今週の本棚
『体はゆく できるを科学する<テクノロジー×身体>』=伊藤亜紗・著
2023/2/4 02:01 504文字(文藝春秋・1760円) 体はユルいもの、つまり自分で完全にコントロールできないものだからこそ新しいことができるようになるのだ。テクノロジーと体の関係を見る五つの研究から著者が導き出した結論である。 ピアノ演奏、野球投手の投球、スポーツのコーチング、リハビリテーションなどで、できなかったことができ
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今週の本棚
持田叙子・評 『樋口一葉赤貧日記』=伊藤氏貴・著
2023/2/4 02:01 1344文字(中央公論新社・2420円) ◇借金重ね輝いた五千円札の顔 本書あとがきにこうある。「一葉さん、二十年のおつとめ、お疲れさまでした」 そうそう、そうでした。五千円札の肖像画に明治の女性作家・樋口一葉が選ばれてから20年。来る2024年に日本銀行券初の女性代表を終え、津田梅子に役目をバトンタッチする
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今週の本棚
渡邊十絲子・評 『ナマケモノ教授のムダのてつがく』=辻信一・著
2023/2/4 02:01 1335文字(さくら舎・1760円) ◇「役に立つ」の意味を問う、読者への花束 「時間のムダを省こう」という傾向が社会を覆って久しい。限りのある時間にできるだけタスクを詰め込み、成果を出していこうとする。人は学んだり訓練したり人に会ったりしなければ不安になり、それらすべてをこなしてなお、「ほかにももっとやるべ
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今週の本棚
『死ぬまでに知っておきたい日本美術』=山口桂・著
2023/2/4 02:01 504文字(集英社新書・1320円) 一冊あればこれは便利! 鑑賞のポイントや、著者が選ぶ一○人のアーティスト、「死ぬまでに見ておきたい日本美術一○○選」まで載っていて、至れり尽くせりである。 本書の特長は、山口桂氏が海外のオークションで美術品を売買するプロであること。日本美術を外から見ている。世界に通用す
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今週の本棚
『アイヌモシリ オオカミが見た北海道』=水越武・著
2023/2/4 02:01 472文字(北海道新聞社・6050円) 誰もが知っていることだが、今の北海道にオオカミはいない。明治期に一頭のこらず人間によって駆除された。つまり殺された。 これはオオカミがいた頃と変わらない北海道を撮った写真集である。タイトルはアイヌ語で「人間の大地」の意。この世界のことで、人と動植物と山と川と海と天が互
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今週の本棚・CoverDesign
鈴木成一・選 『マザーツリー』
2023/2/4 02:01 149文字深い森が広がっている。そこに秘められたネットワークを指し示すかのように、有機的に配された点とそれを繋(つな)ぐ線が、煌(きら)めく銀の箔(はく)押しでカバーを包む。とても美しい。 ◇ 森林生態学者による『マザーツリー』(スザンヌ・シマード著、三木直子訳・ダイヤモンド社・2420円)より。
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今週の本棚
『トーキングブルースをつくった男』=元永知宏・著
2023/2/4 02:01 482文字(河出書房新社・1980円) 昭和にはプロレスやF1の実況中継、平成なら「報道ステーション」のキャスター。屈指のしゃべり手にして時代の狂言回しでもあるフリーアナウンサー、古舘伊知郎が、生涯の仕事と位置づけるのは、単独ライブ「トーキングブルース」だ。そのブルース成り立ちの裏側に迫る。 2時間あまり、
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