本・書評
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絵本においで!
豊かな人生 ぼんさいじいさま/たいせつなこと /福岡
2022/5/25 05:30 785文字◇ぼんさいじいさま 残りの人生を大切にしたいと思わせてくれる本を紹介します。生きにくいと感じることも多い世の中ですが、人生を振り返ったとき、自分がはたして満足しているかどうか、立ち止まって考えてみるのもいいのではないでしょうか。 「ぼんさいじいさま」の初版は1984年ですが、絶版を経て出版社も変わ
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本読んでシール集めて 利用に応じポイント 有田川・金屋図書館 /和歌山
2022/5/25 05:18 731文字絵本や児童向け図書が充実した有田川町立金屋図書館で、利用するとたまるポイントカードの取り組みを実施している。ポイント数に応じて町出身の漫画家、百瀬なつさんが制作した「分類キャラクター」のオリジナルシールがもらえる。期間限定で、7月20日まで。 子どもたちの来館を促し、本に親しんでもらおうと企画され
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SUNDAY LIBRARY
著者インタビュー 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ--コンテンツ消費の現在形』
2022/5/24 18:25 1448文字メディアと人との関わり方は常に変わり続けてきた◆『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ--コンテンツ消費の現在形』稲田豊史・著(光文社新書/税込み990円) 本誌読者の多くにとって、衝撃的なタイトルではないだろうか。「そんな人たちがいるのか!?」と胸がザワつく。稲田さんが“そんな人たち”
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SUNDAY LIBRARY
開沼博・評『失われゆく娯楽の図鑑』藤木TDC/監修
2022/5/24 18:20 1504文字あえて遺そうとしなかったものも丹念に拾い上げ、記してゆく◆『失われゆく娯楽の図鑑』藤木TDC/監修(グラフィック社/税込み2200円) 近所の公園に紙芝居屋がいたのを覚えている。自転車の後ろに、紙芝居の台と水飴を収めた引き出しのようなものがくくりつけられていた。子どもが集まる時間になるとやってきて、
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SUNDAY LIBRARY
木村 衣有子・評『47都道府県 日本全国地元食図鑑』菅原佳己・著
2022/5/24 18:15 909文字手に取れなくなれば忘れられてしまうもの◆『47都道府県 日本全国地元食図鑑』菅原佳己・著(平凡社/税込み1980円) はじめて訪れる街を、スーパーマーケットに立ち寄らずに去らなければならないとしたら。たとえ訪問に際しての用件は首尾よく片付いていたとしても、なにしに来たんだろう私は、と、しょんぼりして
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SUNDAY LIBRARY
武田 砂鉄・評『天野祐吉ことば集 広告の見方 ものの見方』天野祐吉・著
2022/5/24 18:10 927文字置きにいくのではなく時間をかけて考えよう◆『天野祐吉ことば集 広告の見方 ものの見方』天野祐吉・著(グラフィック社/税込み1760円) 亡くなったのは2013年だから、もう間もなく10年が経(た)つ。雑誌『広告批評』を創刊したコラムニスト・天野祐吉の言葉を選(え)りすぐった一冊を読み、残された言葉の
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SUNDAY LIBRARY
岡崎 武志・評『隠し女小春』『ショットとは何か』ほか
2022/5/24 18:05 1848文字今週の新刊◆『隠し女小春』辻原登・著(文藝春秋/税込み1760円) 辻原登はつねに異色のテーマをリアリティーで裏打ちし、本来の意味でのサスペンスで読者を幻惑する。新作の長編小説『隠(かく)し女(め)小春』もあっと驚く手法だ。 大手出版社の校閲部に勤務する矢野聡(あきら)は独身の39歳。彼がいそいそと
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SUNDAY LIBRARY
白河桃子・評『危険人物をリーダーに選ばないためにできること ナルシストとソシオパスの見分け方』『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』
2022/5/24 18:00 1547文字リーダーのありようを注視し危険な兆候があれば警笛を鳴らす◆『危険人物をリーダーに選ばないためにできること ナルシストとソシオパスの見分け方』ビル・エディ/著 宮崎朔/訳(プレジデント社/税込み2200円)◆『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』オードリー・タン/著 近藤弥生子/執筆(SB新書
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東日本大震災
「助け合いの参考へ」 原発事故での“保養”本に 関西2府4県 23団体の活動まとめ /京都
2022/5/24 05:32 1856文字福島第1原発事故の影響を受けた地域の子どもたちにリフレッシュの場を提供する「保養」の取り組みを記した「こんど、いつ会える? 原発事故後の子どもたちと、関西の保養の10年」(石風社)が出版された=写真。関西の2府4県を拠点とする23団体が延べ4000人以上を受け入れた多様な活動やエピソードが紹介され
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岸宏子さん初版本発見 帯付き「ある開花」 生誕100年、伊賀市が500冊復刻へ /三重
2022/5/24 05:31 1248文字伊賀市に住み続けた作家の岸宏子さん(1922~2014年)の代表作「ある開花」の「帯」付き初版本が見つかり、岸さんの顕彰活動をしている伊賀文学振興会が東京の古書店から購入した。振興会が23日、発表した。花登筺(こばこ)さん脚本でロングラン公演の「喜劇 売らいでか!」の原作。振興会は「帯付きは貴重。
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名著を探訪
「人間機雷」に配置された城山三郎が見た、忘れられない光景
2022/5/23 16:30 3278文字ロシアによるウクライナ侵攻がそうであるように、戦争は抵抗するすべのない民間人に多大な被害を及ぼし、その傷痕は広く長く残る。第二次世界大戦は77年前の夏、大日本帝国の敗北で終わった。しかし戦争の産物は今も私たちの周りに多数ある。たとえば沖縄の米軍基地問題。ロシアが返さない北方領土。自民党が改正を悲願
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Interview
絲山秋子さん(作家) 「今」積み重ね生きる人々 過去作続編『まっとうな人生』刊行
2022/5/23 13:03 1553文字読みながら、ふと思う。自分はまっとうに生きているだろうか。そもそも、「まっとう」ってどういうことだろう。このほど刊行された絲山秋子さんの新作長編『まっとうな人生』(河出書房新社)は、迷いながらも「まっとう」に生きようとする人々に寄り添う小説だ。 2005年刊で映画化もされた人気作『逃亡くそたわけ』
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今週の本棚・次回の予定
5月28日の書評欄は『サン=テグジュペリの世界』『悪魔の花嫁』ほか
2022/5/23 11:00 485文字5月28日(土)の毎日新聞朝刊「今週の本棚」で掲載予定の本の主なラインアップを紹介します。 ①池澤夏樹さん評『サン=テグジュペリの世界』(武藤剛史著・講談社選書メチエ) ②松原隆一郎さん評『生きつづける民家』(中村琢巳著・吉川弘文館) ③藻谷浩介さん評『世界少子化考』(毎日新聞取材班著・毎日新聞出
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名著を探訪
「戦争を書くために作家に」 城山三郎「一歩の距離」を読み解く
2022/5/22 16:00 2522文字第二次世界大戦は77年前の夏、大日本帝国の敗北で終わった。しかし戦争の産物は今も私たちの周りに多数ある。たとえば沖縄の米軍基地問題。ロシアが返さない北方領土。自民党が改正を悲願とする日本国憲法に、中国や韓国との歴史認識問題――。日本の現代史は戦争無しには語ることができない。ノンフィクションや小説な
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松本清張作品と考古学を結ぶ「点と線」 橿考研研究員が読み解く魅力
2022/5/22 08:00 1462文字奈良県の高松塚古墳や藤ノ木古墳など歴史的な発掘調査を手掛けてきた県立橿原考古学研究所。そんな「発掘最前線」の主任研究員、絹畠歩(きぬはた・あゆむ)さん(35)が、2022年8月で没後30年を迎える作家・松本清張をテーマにしたユニークな研究に取り組んでいる。論文「小説に描かれた考古学世界の理想と現実
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京都・読書之森
「大学による盗骨 研究利用され続ける琉球人・アイヌ遺骨」 /京都
2022/5/22 05:29 1230文字<活字を楽しむ> (松島泰勝、木村朗編著 耕文社、1980円) かつて、他人の墓から骨と埋葬品を持ち去った学者たちがいた。 場所は北海道、樺太、沖縄、台湾、朝鮮、旧満州(現中国東北部)など。日本の南北端、あるいは、20世紀前半までの一時期、大日本帝国の版図に組み込まれた土地ばかりだ。 実行したのは
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大ヒット漫画『タコピーの原罪』 絶望的現実にハッピーのヒント
2022/5/21 15:42 2099文字◇成長と和解もたらす「おはなし」 漫画『タコピーの原罪』(集英社)=写真は上巻 Ⓒタイザン5/集英社=の快進撃が止まらない。2021年12月から漫画アプリ「少年ジャンプ+」で連載され、今年3月25日の最終話はわずか1日で閲覧数300万を突破。単行本上下巻の発行部数はデジタル版を含め120万部を超え
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若き薄田泣菫らによる文芸誌『小天地』復刻 関西発、近代文化のゆりかご 京都の新興出版社
2022/5/21 15:35 1707文字◇紙の本に魅力詰め、次代へ 1900(明治33)年、大阪の出版社で21歳の発行主と23歳の編集主宰が『小天地』と題した総合文芸誌を創刊した。若き青年2人の志は「東京の雑誌にひけをとらない、質の高いものをつくる」。それから約120年後の2022年、京都で学術出版社を起こした31歳の山本捷馬(しょうま
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歴史掘り起こし 上下2巻本「わまを知ろう」製作 宇佐市和間地区まちづくり協議会 旧跡や風物詩も紹介 /大分
2022/5/21 05:59 809文字宇佐市の和間地区まちづくり協議会が、地元をより深く知ってもらおうと、上下2巻計428ページの大作「新田と放生会のさと わまを知ろう」(A4判、非売品)を製作した。全国の放生会のルーツとされ、地元が舞台となる宇佐神宮の放生会は75ページの章を設けて説明している。市役所に是永修治市長を訪ねて完成を報告
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エッセー集『橙が実るまで』 対話がいざなう、記憶の旅
2022/5/21 05:39 2035文字<土曜カルチャー> 熊本市の「橙(だいだい)書店」店主の田尻久子さんが文章を、写真家の川内倫子(りんこ)が写真を担当したエッセー集『橙が実るまで』(スイッチ・パブリッシング、2970円)が今春、刊行された。雑誌『SWITCH』に2018~21年、連載された40編のエッセーを加筆修正し、写真を再構成
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