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続・山の暮らしの中で

  • 3年の間に=船尾美津子 /富山

     涼しい風に吹かれながら、私たちは歩いていた。 丸の内にあるレストランで食事を済ませて、河野がよく行くという喫茶店へ向かっていた。 「疲れませんか」 と河野は私…

    (2018年9月6日 15:33)

  • 念願=船尾美津子 /富山

     都電に乗って日比谷で降りると、涼しい風が吹いていて、ワンピースの裾がひらひらする。 陽(ひ)が沈んで、暮れはじめたビル街を、河野に向かって私は歩き出した。 仕…

    (2018年8月9日 14:32)

  • 半人前=船尾美津子 /富山

     結核菌の培養検査でも、マイナスになり、私はやっと退院を許された。 それでも医師は、 「人の半分と思って生きて行くように」 と言った。 つまり、と私は思った。あ…

    (2018年7月4日 15:07)

  • 迷い子=船尾美津子 /富山

     河野がお見舞いに来てくれたその夜、私はなかなか寝付かれなかった。 河野に対する自分の気持ちを探りはじめたら、眠れなくなった。 午後9時の消燈(しょうとう)のあ…

    (2018年6月6日 14:17)

  • お見舞=船尾美津子 /富山

     唯一、外界とつながる渡り廊下は長く、その中位あたりに人はいた。 背の高いその人が誰なのか、私には分かっていた。 ベッドの上で半身を起こして待つ私は、気恥ずかし…

    (2018年5月9日 14:49)

  • 結核病棟=船尾美津子 /富山

     千葉の里山の、奥深くに22歳の私はいた。 国立結核療養所は深い緑に囲まれて、静かだった。 粗末な木造建築の、細長い病棟が、広大な松林の中にいくつか点在している…

    (2018年4月4日 14:42)

  • お米=船尾美津子 /富山

     台所から、何とも言えない良い匂いがしてくる。 戦後間もなくだから、電気炊飯器などはなく、まき(、、)で炊く「かまど」などもなく、わが家の釜は「ガス釜」である。…

    (2018年3月7日 14:36)

  • あのふたり=船尾美津子 /富山

     いつもと違う物音に、私は目を覚ました。 窓にかけたカーテンの隙間(すきま)から、青白い光が射(さ)している。 「何なの、こんなに早く」 と私はぶつぶつ言いなが…

    (2018年2月7日 14:36)

  • 松尾先生の甥御さん=船尾美津子 /富山

     神田のエトワールで、松尾先生の甥御(おいご)さんと私は、向かい合って座っていた。 頼んでもいないのに、シュークリームとコーヒーが、目の前に手際よく並べられた。…

    (2018年1月10日 14:24)

  • エトワール=船尾美津子 /富山

     神田の花屋さんで、私がまだ「いけばな」を習っていた頃、松尾先生からお声がかかった。 「申し訳ないけど」 何も置いていない8畳の和室だから、決して狭くはないのだ…

    (2017年12月6日 14:32)

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