/328/止 十三 絶体絶命/58=林真理子 横尾智子・画
「それにしても長い一日でしたなあ……」 岡田がどさりとソファに腰かけた。「いったい何のために、こんなことをしたのか……」「僕にだってわかりませんよ」 山口がいつ…
「それにしても長い一日でしたなあ……」 岡田がどさりとソファに腰かけた。「いったい何のために、こんなことをしたのか……」「僕にだってわかりませんよ」 山口がいつ…
誰かがテレビをつけた。画面の上に「緊急速報!」という文字が踊っている。 女性のキャスターが、深刻そうに眉を寄せレポーターに呼びかけた。「現場の古沢さん、今、爆…
立川は窓辺に立ち外を眺める。「見物人がだいぶ集まってきましたな」「本当ですか。どらどら」 皆近寄ってくる。「手を振ってみましょうか」 岡田を倉田夫人が制した。…
予想どおりエレベーターが上がってきた。扉が開く。三人の警官がいるのが隙間(すきま)から見える。しっかりと椅子が積まれているので前に進むことは出来ない。「ここを…
最上階では立川の指導の下、火炎瓶がつくられている。大きなカレンダーの裏に、彼は火炎瓶の図を描き、それを壁に貼り出していた。「ビール瓶の七分めまでにガソリンを入…
「さあ、あと二回で椅子が全部運べますな」 と山口は二つ互い違いに重ねた椅子を持ち上げる。とても八十近い老人とは思えない。「まあ、山口さん、大丈夫? すごい力がお…
「ふざけんな、お前」 福田の声が怒りのために震えている。「こんなことして許されると思うなよ。お前も手伝った奴(やつ)らもすぐ捕まるからな。刑務所行きだからな」 …
「でもよほど騒がしい歌じゃないと、椅子を運ぶ音、ごまかせませんが」「“第九”なんかどうですか。ほら、『晴れたる~』っていうやつ」「岡田さん、最後まで歌えますか」…
「えー、純子さん、火炎瓶を投げるつもりなの! まさか」 山口の大声に純子はうろたえる。「だって、やっぱりここまで来たら、そうしなきゃならない時もありますでしょう…
午後になった。パトカーの音はまだ聞こえてこない。皆でパンにハムとチーズをはさんだものを食べ、コーヒーを飲んだ。さきほど下から運んできたものである。「調理場から…
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