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踏み跡にたたずんで

芥川賞作家、小野正嗣さんの小説「踏み跡にたたずんで」がスタート。月1回、原則として第4土曜日に掲載します。

  • ビニールハウスで雨宿り=小野正嗣

     空が割れて、そこから落ちてきた。 そう聞こえた。 誰が、と訊(き)き返したかったが、誰に問えばよいのか困った。 見る見るうちに空が暗くなり、雷鳴が遠くで響いて…

    (2018年09月06日 15:53)

  • 林を抜けて海へ=小野正嗣

     途中で振り返ってはいけない。 ただまっすぐ。迷いなく。 そのとおりに進んだ。 すると、こんもりと木々が現われた。立ち並ぶ黒い幹の向こうに、まばゆい光が広がって…

    (2018年08月02日 18:37)

  • 洞と年寄りたち=小野正嗣

     人だかりができていたので、思わず足を止めた。 どうしたんですか? いちばん近くの男性に、そう尋ねた。 どうしたんですか? 返事はなかった。色あせた野球帽の下か…

    (2018年07月05日 16:16)

  • 書店での出会い=小野正嗣

     自作の英訳が刊行された機会に、アメリカの版元に招かれ、シアトル、ダラス、ヒューストン、ポートランドにある独立系の書店を訪れた。 それぞれの書店が本を売るだけで…

    (2018年06月07日 15:48)

  • 港のそばの小学校で=小野正嗣

     詩人に会う約束をした。 指定された場所は、港からさほど遠くない小学校だった。たぶん詩人がかつて勤務していたところだろう。 そう思うのは、彼女の詩の語り手が海の…

    (2018年05月03日 00:00)

  • 飛行機に忘れ物=小野正嗣

     飛行機でそのことを知った。 僕は2歳の4女と一緒だった。 彼女を膝の上に乗せることになる。そのことをすっかり忘れていた。習慣で、機中で読もうとすでに本を選んで…

    (2018年04月05日 18:01)

  • 駅のホームの笑い声=小野正嗣 /大分

     駅のホームで列車を待っていると、笑い声が聞こえた。 初めて定規を手にした小さな子が、白い紙の上に直線をやみくもに引きまくったように、目の前には線路が何十本も走…

    (2018年03月24日 15:38)

  • 言葉の余白=小野正嗣 /大分

     空港から乗ったタクシーの運転手は、たぶんアフリカの国から来た人だった。 運転中に無線から聞こえてくる声と、それに答える彼の声は、僕のまったく知らない言語を交わ…

    (2018年02月24日 15:37)

  • 見つからない橋=小野正嗣 /大分

     川があるとは聞いていなかった。彼女はどうして教えてくれなかったのだろう。 彼は困惑していた。 これでは彼女に会えない。どこかに橋があるはずだと首を振って探す。…

    (2018年01月27日 16:02)

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