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オピッツ、アックス、ツィメルマン 大物ピアニスト続々来日

ドイツ・オーストリア正統派の流れを汲むゲルハルト・オピッツ

 5年ごとに開催されるショパン国際ピアノ・コンクールがこのほどワルシャワで行われ、優勝したチョ・ソンジンはじめ、アジア系若手奏者の台頭が話題を呼んだピアノ界。ボーダーレスな時代となったいま、作曲者や作品とバックグラウンドを共有しない若いアジアの演奏家が、その文化や音楽を吸収し魅力ある演奏をすることは、そう珍しくもないだろう。しかし一方で、伝統を継承し、長年音楽性を磨いてきたベテランの魅力というのもまた、説得力に満ち、愉悦のひとときを与えてくれる。今回は、来日ラッシュを迎える海外アーティストの中から、えりすぐりのピアニスト3人の公演をご紹介したい。

    ゲルハルト・オピッツ……伝統の継承

     まずは来日公演真っただ中のゲルハルト・オピッツから。ヴィルヘルム・ケンプからドイツの伝統的な解釈を学び、「伝統の継承」や「正統派」という言葉がこれほど違和感のない演奏家もいないだろう。レパートリーはドイツものからドビュッシー、ファリャなど幅広いが、やはりベートーヴェンやシューマン、シューベルト、ブラームスらの作品は、彼の魅力がもっとも味わえる。今年に入ってからもバイエルン州立歌劇場管やケルン放送響などとブラームスの協奏曲で協演しており、ドイツ作品におけるオピッツの評価はいまや揺るぎない。来日公演では、全4回にわたるシューマンとブラームスの演奏会シリーズが新たに東京で始まるほか、仙台でも4年ぶりに公演し、ベートーヴェンの≪悲愴≫≪月光≫≪テンペスト≫≪熱情≫の4つのソナタを演奏する予定だ。虚飾なくして音楽に向き合うオピッツのピアノは、作品の本質を存分に味わわせてくれるだろう。

    エマニュエル・アックス……光る知的センスと技

    日本でのリサイタルは13年ぶりとなるエマニュエル・アックス(C) Lisa Marie Mazzucco

     エマニュエル・アックスは、2013年にロイヤル・コンセルトヘボウ管に同行して以来、2年ぶりの来日を果たす。しかも13年ぶりのリサイタル開催とあって、期待が高まる。ここ2、3カ月の活動だけでもアメリカ、日本、フランス、イギリス、ドイツととどまるところを知らず、ますます精力的に活動するアックス。今シーズンはトロントでピアノのフェスティバルを監修したり、夏には以前から共演を重ねるイツァーク・パールマン(ヴァイオリン)とフォーレやR.シュトラウスの録音をリリースするなど、ソリストとしてのみならず、多方面で活躍を見せる。なんと言ってもアックスの魅力は知的センスと技術力だ。リサイタルでは、知性に裏打ちされたベートーヴェンのソナタや、キレの良いショパンのスケルツォなど、アックスの魅力が楽しめるだろう。

    クリスチャン・ツィメルマン……孤高の魅力

    全国13カ所でリサイタルを行うクリスチャン・ツィメルマン (C)Kasskara_DG

     唯一無二の存在として、孤高の魅力を放つクリスチャン・ツィメルマンは、11月後半から来年1月にかけて東京や仙台ほか各地でリサイタルを行う。彼の活躍ぶりはもはや語るまでもないだろう。ときにピアノを運び入れるほどのこだわり、ストイックなまでの作品に取り組む姿勢は、聴き手に既視感ならぬ既聴感を感じさせず、つねにみずみずしく新鮮な作品との出合いを与えてくれる。今夏はサイモン・ラトル率いるベルリン・フィルやロンドン響とブラームスの協奏曲を再演し、話題を呼んだ。来日リサイタルでは、そのブラームスに通じるドイツ・オーストリアの大家、ベートーヴェンやシューベルトを演奏予定だ。ツィメルマンが長年磨き続ける伝統の響きは、至高のひとときをもたらしてくれるに違いない。(正木裕美)

    ゲルハルト・オピッツ公演

    ■11月19日(木)19:00 東京オペラシティ

    シューマン:幻想曲ハ長調op.17

    ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ op.24 ほか

    ■11月24日(火)19:00 電力ホール(仙台)

    ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番ハ短調op.13≪悲愴≫、第14番嬰ハ短調op.27-2≪月光≫、第17番ニ短調op.31-2≪テンペスト≫、第23番 ヘ短調op.57≪熱情≫

    ■11月27日(金)19:00 横浜みなとみらいホール

    ■11月30日(月)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール

    指揮者:サッシャ・ゲッツェル

    管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

    ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調op.83

    ■12月5日(土)13:30  愛知県芸術劇場

    ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調op.13≪悲愴≫

    ブラームス:2つの狂詩曲 op.79 ほか

    ■12月11日(金)19:00、12日(土)14:00 札幌コンサートホールKitara

    指揮:マックス・ポンマー

    管弦楽:札幌交響楽団

    ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調op.58

    ■12月16日(水)、17日(木)いずれも19:00 フェスティバルホール(大阪)

    指揮:アレクサンダー・リープライヒ

    管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

    ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調op.83

    エマニュエル・アックス公演

    ■11月17日(火)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール

    ■11月19日(木)19:00 武蔵野市民文化会館

    ベートーヴェン:創作主題による6つの変奏曲ヘ長調op.34

    ショパン:スケルツォ第1番ロ短調op.20 ほか

    ■11月22日(日)14:00 サントリーホール

    ■11月23日(月・祝)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール

    指揮:ジョナサン・ノット

    管弦楽:東京交響楽団

    R.シュトラウス:ブルレスケ ニ短調 〜ピアノと管弦楽のための

    クリスチャン・ツィメルマン公演

    ■11月19日(木)19:00 倉敷市民会館

    ■11月21日(土)17:00 兵庫県立芸術文化センター

    ■11月28日(土)17:00  柏崎市文化会館アルフォーレ

    ■11月29日(日)17:00 所沢市民文化センターミューズ

    ■2016年1月9日(土)17:00 サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)

    ■2015年1月10日(日)17:00 横浜みなとみらいホール

    ■2016年1月11日(月)17:00 水戸芸術館

    ■2016年1月13日(水)19:00 サントリーホール

    ■2016年1月16日(土)17:00 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

    ■2016年1月18日(月)19:00 武蔵野市民文化会館

    シューベルト:7つの軽快な変奏曲 ト長調

    シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番イ長調 D959

    シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D960≪遺作≫

    ■12月11日(金)19:00 東京文化会館

    ■12月13日(日)17:00 愛知県芸術劇場

    ■12月18日(金)19:00 東北大学百周年記念会館川内萩ホール

    ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調op.110

    シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調D.960≪遺作≫

              □              □          

    筆者プロフィル

    正木裕美(まさき・ひろみ) 国立音楽大学(音楽教育学)、同大学院(音楽学)修了。クラシック音楽の総合情報誌「音楽の友」編集部勤務を経て、現在は仙台市在住。「音楽の友」編集部では、全国各地の音楽祭を訪れるなどフットワークを生かした取材に積極的に取り組んだ。東日本大震災発生後、仙台に移り住み、同市を拠点に東北各地の音楽状況や音楽による復興支援活動などの取材に力を入れている。

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