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音楽の窓から世の中を眺めて

「小さき営み」を伝える力(下)

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

江川紹子

(「上」からつづく)

 フランス文学者の鹿島茂さんが、今年秋の新国立劇場「椿姫」公演プログラムに「パリの半社交界(ドゥミ・モンド)」と題する興味深い文章を寄せている。その中で鹿島さんは、なぜ「椿姫」の時代、すなわち19世紀のパリには娼婦が多かったのかを、次のように解説している。

<19世紀フランスでは、法律的にも経済的にも女性の権利が非常に低く、成人に達した女性の選択肢は、極端に言ってしまうと、①結婚する ②独身のまま修道院に入る ③娼婦になる、の三つにほぼ限られていたからです>

 それも、結婚は家と家の結婚であり、本人の意思はほとんど考慮されない。下層中産階級の女には働く道がな…

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江川紹子

えがわ・しょうこ 神奈川新聞社会部記者を経てフリーライターに転身。その後、オウム真理教による一連の凶悪事件などの取材・報道を通じて社会派ジャーナリストとして注目を集める。新聞、週刊誌の連載やテレビの報道・情報番組のコメンテーターとして活躍。近年、クラシック音楽やオペラの取材、アーティストのインタビューなどにも取り組んでいる。Twitter:@amneris84 ‏

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