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ときにはぶらりと音楽を

アマオケ本番の日程とホール確保

遠藤靖典

 10月半ばから11月はアマオケ(アマチュアオーケストラ)の本番が集中しやすい時期である。プロと違い、週末しか時間を取ることができないのがアマチュアの宿命なので、いきおい土日に集中する。同じ日にいくつものアマオケの本番があることも珍しくない。

 この時期に集中するのには理由がある。8月にお盆休暇があり、この間は練習が中断する。1週間前の練習での指摘でさえ忘れがちなアマチュアのこと、お盆休暇を挟んでしまうと練習再開時に以前練習したことを忘れて元の木阿弥(もくあみ)、も珍しくない。その分復習に時間がかかるので、少なくとも10月以降が望ましい。一方、12月は既に師走、趣味も大切だが、家の片付け、仕事の区切り、新年の準備、そして何より忘年会、と、楽器に触れられる時間は激減する。1月はもちろん新年会、2月からは年度末に向けてまっしぐら、となると、オケの本番どころではない。かくして10月半ばから11月しか残らないのである。それにこの時期は芸術の秋とも言いますしね。

 年2回演奏会をするアマオケは、これに5月半ばから6月が加わる。4月は新年度で忙しく、5月に入ったらゴールデンウイークで、家族サービスもせねばならぬ。7月では、秋の演奏会と近過ぎ、かくしてこの時期に集中することになる。

 あえて5月半ば~6月と10月半ば~11月を外す手もあるにはある。その場合、ホールは取りやすくなるが、団員のスケジュールがタイトになるというトレードオフが生じる。ただし、土日は朝から晩まで練習にいそしむ猛者の集うオケはこの限りではない。たとえ長期休暇が入ろうが、仕事で忙しくなろうが、彼ら彼女らの練習には何の影響も及ぼさない。かくして練習ヲタ(オタク)の集うオケであればあるほど、時期の縛りなく本番を入れることになる。

 この本番が集中するということが、アマオケにとってただならぬ問題を提起するのである。客の奪い合いもあるし、頼りにしていたトラ(エキストラ=人数が足りないパートに臨時で応援参加する外部奏者)が自分のオケの本番のため、または他のオケのトラのために協力してもらえなくなった、ということもある。しかし最大の問題は演奏会場確保であろう。

 ここで簡単な計算をしてみよう。かなりアバウトなので、その点、ご容赦いただきたい。例えば2017年10月14日から11月30日までの土日祝日は16日であった。一方、東京都内の客席1300以上のホールは約35だが、この中にはサントリーホールやNHKホール、東京文化会館等の使用料金が高額なホールも含まれるので、料金のリーズナブルな公営施設と考えると15程度になる。つまり、16×15で240のアマオケが演奏できることになるが、とあるウェブでアマオケをカウントすると360前後、このウェブに載っていないオケ(筆者の所属するオケもその一つである)も考えると、400はあるかもしれぬ。この中には小規模のオケも含まれるので、これらが全て客席1300以上のホールを使うことはないであろうが、それにしても240では十分とは言えない。アマオケだけでこうなので、さらに国内外のプロオケをはじめとしたさまざまな演奏団体、それにクラシック以外のコンサートや講演会等も考えると、全くと言って良いほど足りぬ。かくしてホールの争奪戦が繰り広げられることになる。

 近年、ホールの抽選はウェブで行われるようになってきた。とはいえ、まだ少なからぬホールが受付当日の先着順であったり窓口での抽選を実施していたりするので、ホール確保にはかなり気を使うのである。それどころか、もしホールが確保できなかった場合、どんないいプログラムを考えようとも、どんなにメンバーを集めようとも、演奏会自体が成り立たない。かくしてホールの確保は死活問題となり、ホール確保の日程に指揮者やメンバーの都合が依存するという状況になる。そうなると新たな指揮者の選定やトラの手配も必要となる。アマオケの運営サイドの人々の苦労は大変であろう。好きでないととてもやってられないのである。アマオケの皆さん、ホール確保における運営サイドの方々の苦労を忖度(そんたく)してあげてくださいね。

筆者プロフィル

 遠藤靖典(えんどう・やすのり) 大学教授。専門はデータ解析。教育・研究・学内業務のわずかな間隙(かんげき)を縫ってヴァイオリンを弾き、コンサートに足を運ぶ。

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