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必聴!

今年の東京・春・音楽祭の聴きどころ②「レオンスカヤ シューベルト・ツィクルス」

 「東京・春・音楽祭」(以下、東京春祭)の今年の聴きどころ、みどころを紹介するシリーズの2回目は、旧ソ連出身のベテランピアニスト、エリーザベト・レオンスカヤによる「シューベルト・ツィクルス」を中心にその魅力にスポットを当てます。(宮嶋 極)

エリーザベト・レオンスカヤ(C)Marco Borggreve

【エリーザベト・レオンスカヤ シューベルト・ツィクルス】

 「東京春祭 ワーグナー・シリーズ」と並んで今年、同音楽祭で筆者が注目するのはジョージア(旧ソ連・グルジア)出身のベテランピアニスト、エリーザベト・レオンスカヤによるシューベルト・ツィクルスである。

 レオンスカヤは1945年に旧ソ連・グルジア共和国の首都トビリシで生まれた。幼少時代から豊かな才能を発揮。64年にモスクワ音楽院に入学しヤコブ・ミルスタインらに師事。ロシア・ピアニズムの伝統的スタイルを継承するピアニストとして知られる。とりわけ20世紀の巨匠ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテルとの数々の共演から多大な影響を受けたことは有名。リヒテルは彼女の非凡な才能を高く評価し、共演を通じて指導や助言を熱心に行い、ロシア・ピアニズムの神髄を伝授したといわれている。

 リヒテル没後は活動の拠点をウィーンに移し、ソリストとしてベルリン・フィル、ライプツィヒ・ケヴァントハウス管、バイエルン放送響、ニューヨーク・フィル、ロンドン響など各国の名門オーケストラやマリス・ヤンソンスらトップ指揮者との共演を重ねている。

 今回はシューベルトのピアノソナタのうち18曲と「さすらい人幻想曲」を6回に分けてじっくりと聴かせてくれる。ウィーンでも開催し絶賛を博したシリーズをそのまま東京文化会館小ホールに移して披露するこれらの公演、円熟の域に歩みを進めつつあるレオンスカヤの至芸が体験できるまたとない機会になりそうだ。

スペランツァ・スカップッチ(c)Silvia Lelli
エヴァ・メイ

【東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.5 ロッシーニ「スターバト・マーテル」】

 東京春祭の最終日の恒例となった感のある「合唱の芸術シリーズ」。5回目 となる今年はロッシーニの没後150年にちなんで「スターバト・マーテル」を取り上げる。

 「スターバト・マーテル」は13世紀に作られたカトリックの聖歌のひとつ。日本語では「悲しみの聖母」と訳されることが多い。このタイトルは元々のラテン語聖句(歌詞)の1行目「Stabat mater dolorosa(悲しみの聖母は立っていた)」に由来しているといわれている。ロッシーニだけではなくヴィヴァルディ、ハイドン、ヴェルディ、ドヴォルザーク、プーランクら多くの大作曲家がこの聖句に曲を付けている。

マリアンナ・ピッツォラート

 ロッシーニの「スターバト…」は全10曲からなり、透明感のある美しいハーモニーが特徴。指揮はイタリア出身でウィーン国立歌劇場をはじめとするヨーロッパの名門オペラや音楽祭で活躍するスペランツァ・スカップッチが担当。エヴァ・メイ(ソプラノ)らイタリアものを得意とする実力派歌手4人がソリストを務める。合唱は東京オペラシンガーズ、演奏は東京都交響楽団。ロッシーニが作曲家として脂の乗り切った50歳の時に書いた名作の魅力を堪能することができそうだ。

 また、これらのほかにもコンスタンチン・リフシッツによる「バッハ ピアノ協奏曲全曲演奏会」(3月30日、4月1日、東京文化会館小ホール)、テノール歌手クラウス・フロリアン・フォークトとシルヴィア・クルーガー(ソプラノ)とのデュエット・コンサート(4月11日、東京文化会館小ホール)、ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽公演(4月14日、東京文化会館小ホール)など一流アーティストによる注目コンサートが多数開催される。

公演データ

【エリーザベト・レオンスカヤ シューベルト・ツィクルス】

会場はいずれも東京文化会館小ホール

①4月4日(水)19:00開演

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第1番 ホ長調 D157

:ピアノ・ソナタ 第4番 イ短調 D537

      :ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 D850

    

②4月6日(金)19:00

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第9番 ロ長調 D575

:ピアノ・ソナタ 第15番 ハ長調 D840

:ピアノ・ソナタ 第18番 ト長調 D894

    

③4月8日(日)11:00

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第2番 ハ長調 D279

:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 D664

:ピアノ・ソナタ 第16番 イ短調 D845  

    

④4月10日(火)19:00

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第5番 変イ長調 D557

:ピアノ・ソナタ 第3番 ホ長調 D459

:ピアノ・ソナタ 第6番 ホ短調 D566

:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D958

    

⑤4月12日(木)19:00

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第7番 変ホ長調 D568

:ピアノ・ソナタ 第14番 イ短調 D784

:ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D959

    

⑥4月14日(土)14:00

ショーベルト:ピアノ・ソナタ 第11番 へ短調 D625

:幻想曲 ハ長調 D760 「さすらい人幻想曲」

:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960

    

マルコ・チャポーニ

【東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.5 ロッシーニ「スターバト・マーテル」】

4月15日(日)15:00 東京文化会館大ホール

 

モーツァルト:交響曲第25番ト短調 K.183

ロッシーニ:「スターバト・マーテル」(没後150年記念)~聖母マリアの七つの悲しみ

 

イルダール・アブドラザコフ(c)Sergey Misenko

指揮:スペランツァ・スカップッチ

ソプラノ:エヴァ・メイ

メゾソプラノ:マリアンナ・ピッツォラート

テノール:マルコ・チャポーニ

バス:イルダール・アブドラザコフ

合唱:東京オペラシンガーズ

合唱指揮:マティアス・ブラウアー、宮松重紀

管弦楽:東京都交響楽団

 

※その他の公演の詳細については下記、主催者ホームページをご参照ください

http://www.tokyo-harusai.com/program/program_list.html

筆者プロフィル

 宮嶋 極(みやじま きわみ)スポーツニッポン新聞社勤務の傍ら音楽ジャーナリストとして活動。スポニチ紙面、ウェブにおける取材・執筆に加えて音楽専門誌での連載や公演プログラムへの寄稿、音楽専門チャンネルでの解説等も行っている。

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