(河出書房新社・1890円)
名所旧跡もいいが、その国の暮らしぶりを生で知るには、まずは市場に足を運んでみることだ。しかも、築地市場のような大規模なものよりも、その土地の人々が日常的な売り買いをする小さな市場がいい。どんな野菜、果物、魚、肉が、どんな具合に並べられ、人々がどんな表情でやりとりしているのか。
旧ソ連・東欧圏を除く世界中のあらゆる地域に足を運んで、暮らしの中に根付いた一四七の市場の息吹を、一七八枚の写真とともに届けてくれる。しかも、著者みずからが実際に食しての感想が付け加わる。なるほど地球はしたたかに生きている、という気がしてくる。著者は報道写真家、写真を引き立てるよう文章をちょっと抑え気味にしている分、かえって余韻がふくらむ。(達)
毎日新聞 2009年11月1日 東京朝刊