(ちくま新書・777円)
幼・小からの「お受験」に多額をつぎ込み、それでも自分の子が下の階層に落ちないか心配する親がいる一方、九九のできない生徒がほとんど、生徒の半数は退学する高校もある。後者の実態を、中退した若者らのインタビューで再現し、背景にある「貧困の連鎖」をえぐる。
低学歴は、経済的意味での貧困だけでなく、生活知識や社会常識の不足をも招き、それが次の世代に伝わる。こうして排除され、社会に「居場所」のない人々が量産される。他方、彼らを同じ社会の人間と見なせず、「わが子を彼らのようにしたくない」と過剰にヒートする親もいる。本書が描く、排除される側の貧困だけでなく、排除する側の危機意識という「貧困」もまた、問題とされねばならないだろう。(生)
毎日新聞 2009年11月1日 東京朝刊