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第63回読書世論調査:ネットで読書、まだ少数 「話題だから」本を手に(その2止)

 ◇新聞の書評に望むのは? 「易しい表現」21%

 出版点数は多く、短期間で書店に並ぶ本が入れ替わる状況が続いている。どんな本が出版され、何を読めばいいのか--。それを知る役割を担うのが新聞などの書評だが、読者のニーズに応えられているだろうか。

 書評をきっかけに書籍を購入したり、興味を持ったことがあるかを聞いた。書評により書籍を「よく購入する」人は5%、「ときどき購入する」は34%、「興味は感じたが、まだ購入したことがない」は33%。合わせて72%と多数の人が書評によって本を購入したり、興味を喚起されていたわけで、読者と本とを結びつける書評の効果は大きい。

 しかし同じ質問をした01年調査では、合わせて81%だった。今回「興味を感じた書籍はなかった」との回答は22%で、前回の13%より9ポイント増加している。書評に取り上げる書籍の選択という点では、不満が増えている。

 新聞の書評にどのようなことを望むかを、二つまでの複数回答で答えてもらうと、最も多かったのは「手軽に買える書籍も積極的に選んで」の28%で、「もう少し易しい表現を」の21%が続く。01年と順位は同じで、数値もほぼ同じ。

 新聞の書評は難しいと受け止めている人が多いことがうかがえる。

 ◇時代・歴史小説、女性の読書量増加

 戦国時代の史跡が歴史好きの女性「歴女」でにぎわい、若者たちの間で戦国武将が登場するゲームが人気を集めるなど、歴史ブームの様相だ。中高年の男性中心と見られてきた時代小説の読者層に変化があるかを調べた。

 この1年間で時代小説や歴史小説を「読んだことがある」は31%で、「読んだことがない」は60%だった。「読んだ」人は男性で35%と女性の27%より高く、10代後半~30代は20%台なのに対し、40代以上で30%を超し、やはり男性と中高年に人気がある。

 とはいえこの1年間に「読む量が増えた」との回答を男女年代別に見ると、最も多いのは70代以上女性の33%で、10代後半女性24%、20代女性23%、50代女性23%と続く。女性の間で関心が高まっているのは確かのようだ。

 読んだ理由を聞くと「大河ドラマや映画の影響」が26%で最も多く、次いで▽戦国武将が好きだから21%▽人生哲学が学べるから15%▽時代劇が好きだから14%。男女別のトップは男性は「戦国武将が好き」の27%、女性は「ドラマや映画の影響」の35%だった。

 一方「読んでいない」理由は▽小説自体を読まない61%▽歴史に興味がない30%など。

 ◇「1Q84」3割超が関心

 5月の発売開始から1週間で96万部を突破し、今年最大の話題作となった村上春樹氏の新作「1Q84」。実際に「読んだ」との回答は2%だが、「読んでいないが、これから読もうと思う」が30%に上った。一つの作品に全体の約3分の1が関心を持ったわけで、異例の注目の高さだ。

 「読んだ」「読もうと思う」と答えた人に、読む気になった理由を三つまでの複数回答で答えてもらった。最も多かったのは「テレビで話題になったから」の54%。「村上氏の新作長編だから」21%の倍以上で、従来の固定ファンより、マスコミが話題にしたことが大きく影響していることが分かる。

 また「ベストセラーランキングを見て」が33%、「発売直後に書店で売り切れになっていたから」が11%あり、話題が話題を呼び、ブームが増殖する作用も見て取れる。今年2月、村上氏はエルサレム賞の受賞講演でイスラエル軍のガザ侵攻を批判したが、この「受賞講演を聞いて」という人も10%あり、社会的関心から作品を手にした人もいるようだ。

 「1Q84」の発売前に村上作品を読んだことがある人は全体の19%。1Q84を「読んだ」と答えた人に限ると64%が過去の作品も読んでいたが、「読もうと思う」という人では35%で、読んだことがない人が62%に達した。

 「1Q84」を巡っては、作中で主人公が聴くヤナーチェク作曲「シンフォニエッタ」のCDに注文が殺到するなど、関連作品も注目を集めた。

 こうした関連作品に「関心を持った」という人は全体の9%。「1Q84」を読んだ人では57%だが、読もうと思う人では19%にとどまった。

 ◇1カ月間に読まれた週刊誌、トップは「女性自身」

 1カ月間に読まれた週刊誌の1、2位は昨年と変わらず、1位「女性自身」13%、2位「週刊現代」11%。3位は昨年6位だった「週刊新潮」が11%(回答者実数では週刊現代が上)で、01年以来8年ぶりにトップ3に食い込んだ。4位は「週刊文春」の10%。

 調査を行う1カ月前の今年8月は、酒井法子被告の覚せい剤取締法違反事件が話題となっていた時期にあたり、このことが、事件に強い総合週刊誌の順位を押し上げたのかもしれない。

 男女別では、男性のトップ3は「週刊現代」16%(昨年1位)、「週刊少年ジャンプ」15%(同3位)、「週刊新潮」13%(同5位)。女性のトップ3は昨年と変わらず、「女性自身」24%、「女性セブン」17%、「週刊女性」14%の順だった。

 ◇生誕100年の太宰と清張、見つめ直す機会に

 今年は太宰治(1909~48)と松本清張(1909~92)の生誕100年にあたり、文庫本が新装されたり、作品が映画化されるなど話題になっている。

 2人の作品をどの程度読んだことがあるかを尋ねた。「たくさん読んでいる」は太宰2%、清張6%。「少しは読んでいる」は太宰40%、清張30%だった。

 最初に作品を読んだ時期は、太宰が▽小学生25%▽中学生35%▽(中学生を除く)15~19歳19%と、約8割が20歳前。最初に読んだ作品は「走れメロス」が69%で群を抜く。

 太宰の作品を読むきっかけも「教科書に載っていた」が55%で、学校教育の影響が大きい。

 一方、清張は小学生は1%とほとんどおらず、中学生13%▽15~19歳23%▽20代34%▽30代15%▽40代以上13%と、幅広い年代にわたるのが特徴だ。読むきっかけは「よく読まれている本だから」が40%。最初に読んだ作品は「点と線」46%と「砂の器」29%の2作品に回答が集中した。

 「生誕100年をきっかけに作品を読んでみようと思うか」については、太宰は「読もうと思う」9%、「時間があれば読もうと思う」35%。清張はそれぞれ8%、36%。作家を見つめ直す機会となっているようだ。

 ◇読書世論調査10年版 報告書、来春発行

 「第63回読書世論調査」と、小・中・高校生を対象に全国学校図書館協議会の協力を得て実施した「第55回学校読書調査」(27日掲載予定)の結果をまとめ、詳細なデータを加えた報告書「読書世論調査2010年版」を来春、毎日新聞社から発行する予定です。

 報告書は1部3150円(税、郵送料込み)。

 購入希望者は〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1の1の1 毎日企画サービス(電話03・3212・0403)へ、はがきか電話でお申し込みください。代金後払いで、報告書を発送する際に郵便振替用紙を同封します。

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 ◇1カ月に読んだ週刊誌トップ10

                 全体 男性 女性

 (1) (1)女性自身     13  2 24

 (2) (2)週刊現代     11 16  6

 (3) (6)週刊新潮     11 13  8

 (4) (3)週刊文春     10 12  9

 (5) (4)女性セブン    10  2 17

 (5) (8)週刊少年ジャンプ 10 15  4

 (7) (5)週刊女性      8  2 14

 (8) (7)週刊朝日      8  9  6

 (9)(12)週刊少年マガジン  7 13  2

(10) (9)TVガイド     6  5  7

 複数回答、数字は%。同率は回答者数が多い方を上位にした。カッコ内は昨年の順位。

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 ■主な質問と回答

 ◆太宰治の作品をどの程度読んだことがありますか。

                    全体 男性 女性

たくさん読んでいる            2  2  2

少しは読んでいる            40 35 45

ほとんど読んだことがない        30 32 28

全く読んだことがない          24 27 21

 ◇<「たくさん読んでいる」「少しは読んでいる」と答えた方に>太宰治の作品を最初に読んだのはいつですか。

小学生                 25 24 26

中学生                 35 35 36

15~19歳              19 19 19

20代                 11 14 10

30代                  3  3  3

40代以上                5  5  5

 ◇<「たくさん読んでいる」「少しは読んでいる」と答えた方に>最初に読んだ太宰治の作品は何ですか。

晩年                   1  2  1

走れメロス               69 66 71

富嶽百景                 1  2  0

津軽                   1  1  1

お伽草紙                 1  1  1

パンドラの匣               0  0  0

ヴィヨンの妻               0  -  0

斜陽                   8  6  9

人間失格                17 19 15

桜桃                   0  0  0

 ◆生誕100年をきっかけに太宰治の作品を読んでみようと思いますか。

読もうと思う               9  8 10

時間があれば読もうと思う        35 29 41

あまり読もうと思わない         27 30 24

読もうと思わない            26 30 21

 ◆松本清張の作品をどの程度読んだことがありますか。

たくさん読んでいる            6  7  6

少しは読んでいる            30 27 33

ほとんど読んだことがない        28 29 27

全く読んだことがない          33 36 31

 ◇<「たくさん読んでいる」「少しは読んでいる」と答えた方に>松本清張の作品を最初に読んだのはいつですか。

小学生                  1  1  1

中学生                 13 14 13

15~19歳              23 24 22

20代                 34 33 35

30代                 15 16 14

40代以上               13 12 13

 ◇<「たくさん読んでいる」「少しは読んでいる」と答えた方に>最初に読んだ松本清張の作品は何ですか。

張込み                  2  3  2

点と線                 46 51 42

眼の壁                  1  0  1

ゼロの焦点                9  9  9

霧の旗                  1  1  2

砂の器                 29 25 31

わるいやつら               1  1  1

日本の黒い霧               1  2  0

けものみち                2  1  3

黒革の手帖                4  3  5

 ◆生誕100年をきっかけに松本清張の作品を読んでみようと思いますか。

読もうと思う               8  7  9

時間があれば読もうと思う        36 31 40

あまり読もうと思わない         26 27 25

読もうと思わない            26 31 22

 ◆書評を読んだり、見たり、聞いて紹介された書籍を購入したり、興味を持ったことがありますか。

よく購入する               5  4  6

ときどき購入する            34 32 35

興味は感じたが、まだ購入したことがない 33 32 35

興味を感じた書籍がなかった       22 27 18

 ◆新聞の書評にどのようなことを望みますか。(二つまで)

もう少し易しい表現を          21 20 22

手軽に買える書籍も選んで        28 26 30

最新の書籍を扱って            8  8  7

書評担当者を多彩に           10 12  9

作者紹介など楽しい企画を        18 17 20

作品の土地や背景を紹介して       19 19 19

古典の紹介も扱って            4  5  4

紹介する本の数を増やして        15 15 14

雑誌や漫画も紹介して          15 16 15

その他                 11 13  9

 ◆調査の方法◆

 全国300地点から16歳以上(9月30日現在)の男女計4800人を層別2段無作為抽出法で選び出し、9月11~13日の3日間、調査員が訪問して質問用紙を対象者に預け、回答記入後に回収する「留め置き法」で実施した。

 回答者は2771人、回収率58%だった。回答者の内訳は男性48%、女性52%。年代別は▽10代後半(16~19歳)6%▽20代11%▽30代16%▽40代17%▽50代17%▽60代18%▽70代以上15%。

毎日新聞 2009年10月26日 東京朝刊

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