◇4リットル直4ターボ+6MT搭載のホットハッチ
イタリア伝統のスポーツブランド完全復活!
「カルロ・アバルト(創業者)が成したことを現代に再現したい」。新生アバルト・ブランドのトップ、ルカ・デ・メオ氏は力強く語る。いまなお、アバルト・ブランドには熱烈なファンが多い。グランデ・プント・アバルトを第1弾として、今後、アバルト社は新型500などのコンパクトモデルをベースにするコンプリートカー製作、それらのモデルをベース車にしたモータースポーツ活動なども支援し、最終的にはオリジナルモデルの企画も視野に入れているという。
記念すべき復活第1作のグランデ・プント・アバルトの詳細を紹介しよう。
アバルトは今回、フィアット・グループの一法人、つまり、アルファロメオやランチアと同格のブランドとして再出発を果たした。それゆえ、グランデ・プント・アバルトの内外装には、フィアットのロゴは一切、見当たらない。フロントグリルやリアハッチには、伝統のサソリのエンブレムが輝く。車名からフィアットが外れている状況からも、アルファロメオなどと同列(フィアット・ブランドより上位)の位置づけであることがわかる。
ジウジアーロ・デザインによる、完成度の高い2ボックススタイルは、アバルトの巧みな仕上げでオリジナリティを打ち出している。まず、ボディ全体の構えがとても低い。しかも踏ん張り感が強く感じられる。これはベース車から車高を10ミリ下げ、トレッドを6ミリ拡大した効果である。そのうえで、17インチの専用アルミホイールと45%偏平タイヤを履かせ、奇抜ではないが存在感のあるエアロパーツ(専用前後バンパー、サイドアンダースカート、ルーフスポイラー)を組み合わせている。そして、ホイールの奥で光っているのは、ブレンボ製のブレーキキャリパーだ。
インテリアもエクステリア同様の手法で仕上げた。インパネにはホワイトパネルを配し、専用デザインの本革巻きステアリングホイール&シフトノブやアルミペダルを備える。前席にはヘッドレスト一体型のハイバックタイプを装備するなど、スポーティ感の演出はツボを得たものである。
スピードメーターは260キロスケール。イタリア仕様には、カーボンパネルやフルレザートリム仕様といったオプションも用意されている。
と、ここまでならば、アバルト・ファンの多い日本市場向けに独自に企画された、ファーストプントのアバルト仕様と代わり映えしない。独立したブランドとして再スタートしたからには、その中身が問題となる。
まず、パワーアップされたエンジンに注目したい。フィアット製1.4リットル直4ユニットに、IHI製ターボチャージャーを装着して155馬力という大パワーを得ている。さらに、センターコンソールにある“スポーツブーストボタン”を押せば、フルスロットル時の3.5秒間だけブースト圧がアップし、トルクが10%アップする。同時にステアリングは重くなり、手ごたえが増す。
エンジンの高性能化に合わせて、サスペンションまわりにも手が加えられた。ブレンボ製キャリパー&ローター+17インチアルミに加え、フロントのスプリングを20%固め、アンチロールバーを強化。さらに、各種電子デバイス(ESP、ASR、ABS)のセッティングは、よりスポーツ指向に高められた。
これらの専用アイテムの装着は、あくまで基礎的なチューンアップの範囲である。ベースとなったグランデ・プントが非常に完成度の高いクルマだったから、アバルトのスペックを聞いただけで、ボクの走りへの期待は大きく膨らんだ。
アイドリング域のエグゾーストサウンドは野太い印象だが、荒々しさはない。クラッチペダルは軽く、扱いやすい。
ゆったり走る分にはちょっと固めだが、乗り味はしなやかだった。しかし、山道でスポーツブーストボタンを押せば、性格はがらりと変わる。ブーストアップそのものの効果を大きく感じるシーンはなかったが、ステアフィールがグッと引き締まる。
操縦特性はFFスポーツらしい、楽しいものだ。リアサスの追従性がいいため、オーバースピードぎみで中低速コーナーに飛び込んでも、容易にコントロールできた。
アバルトのお楽しみは、これにとどまらない。イタリア仕様の場合、購入後、1年間もしくは2万キロ以上乗ると“エッセエッセ(SS)キット”がディーラーなどで装着できる(有償)。ターボはギャレット製のタービンに換装され、ブースト圧も上がり、パワーは180馬力に達する。その刺激度は、スタンダード仕様のアバルトをはるかに上回るものだった! じつにアバルトらしい趣向である。
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2008年3月6日