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ニューカーレポート:ホンダ ステップワゴン

◇低床フロア思想を最大活用しスペースユーティリティー追求
新型モデルは標準ボディーとエアロボディーの2シリーズ構成

 ホンダ・ステップワゴンがフルモデルチェンジした。新型車(4代目モデル)の開発背景には、歴代各車の特徴が密接に関係しているため、ステップワゴンのミニヒストリーから解説したい。

 初代モデルは、FF乗用車のプラットホームをベースに、スクエアボディーで空間効率を追求した5ナンバーの3列シートミニバンとして、96年にデビューした。2代目モデル(01年登場)は「さらに広く、機能的に」をコンセプトに掲げて、室内寸法を拡大。つまり2代目モデルは、初代モデルの発展型といえる、実用性重視のミニバンだった。

 3代目モデル(05年デビュー)の開発コンセプトは、「ミニバンの多用途性とスペース性をキープしたうえで、スタイルと運動性能にこだわったスペシャルティーミニバン」。3代目オデッセイの基本構造を応用した低床プラットホームを採用し、フロア高と全高を下げた独特の低重心ボディーが特徴だった。一方で、“ミニバンは女性のデーリーユースの機会が多い”という使用状況に焦点を当て、ボディーが実際のサイズよりも小さく見えるように工夫された外観デザインは、ライバルと一線を画していた。

 そして、4代目モデルの登場である。新型車は、旧型車の独創性から、現在の市場ニーズ(スペース効率と燃費性能)を最優先にした設計。ただし、旧型の独自性(低床プラットホームなど)は継承し、さらに発展させた。つまり、新型ステップバンは“ミニバン必須のスタンダード性能+ホンダのオリジナリティー”という発想から誕生したモデルである。

 スペース性は、ホンダ独自の低床プラットホームを3代目モデルから継承。そのうえで、アッパーボディーのサイズを上方向と横方向に極力広げて、クラス最大級のキャビンスペースを目標に設計された。

 燃費性能は、エンジンとトランスミッションだけではなく、車両トータルで高効率化を推進した。たとえば、フルモデルチェンジ時はボディー剛性の全面強化が一般的だが、新型車はそれを“必要な部分だけ”にとどめ、重量増がもたらす燃費悪化を回避した。メカニズムは既存ユニットを多用し、開発コスト高騰による価格上昇に配慮するとともに、構造がシンプルなメカを選び、軽量化を徹底させた。エンジンはストリーム用をベースに、モード燃費と実用燃費をともに引き上げる改良を実施。トランスミッションは、FF全車にCVTを採用。これらの相乗効果で、10、15モード燃費はクラストップの14.2㎞/L(標準系)をマークする。

 車種ラインアップは従来どおり、プレーンな標準系と、エアロ系のスパーダの2シリーズ構成である。標準モデルの想定ユーザーは“30~40代の子育てファミリー”。スパーダは、このユーザー層に加えて“20~30代前半の独身男性”をターゲットにしている。

 “エアロパーツや専用マスクを装備したスポーティーバージョン”というスパーダのキャラクター自体は、新旧モデル共通である。ただし、旧型は“標準系と並ぶシリーズの柱”という位置づけだったが、新型車は“標準系の上位に位置する上級モデル”として開発された。これは最近、ミニバンユーザーの間に定着しつつある「エアロ系モデル=最上級グレード」という認識を、商品開発に反映させた結果だという。

 FF車の全長×全幅×全高は4690×1695×1815mm。全長は旧型比で60mm長く、全高は45mm高い。全幅は旧型と共通だが、サイドウインドーの傾斜角を従来型よりも起こしてルーフ幅を40mm拡大した結果、室内横方向のゆとりは旧型よりも広がった。

 “実際のサイズよりも室内が大きく広く見える”工夫を凝らした外観デザインは、新型車の特徴のひとつだ。ボディー各部のエッジは、旧型までの丸みを帯びた造形から直線基調に変更。Aピラーの角度は、旧型よりも直立に近い位置に設定し、ガラス面を上下に拡大したサイドウインドーグラフィック構成はその一例といえる。これらは、「第一印象でボディーが小さく見えると、室内が狭く感じる。だから、ミニバンの用途を考えると購入をためらう」という一般的なユーザーの反応を分析した結果のデザイン手法とか。

 旧型の“小さく見えるボディー”は、室内が小さいという印象(実際はライバル車と同等)をユーザーに与える一方で、オーナーには「運転しやすい」と好評だった。新型車はこの評価を重要視した。リアクオーターウインドーは左右非対称で、右側よりも左側のほうが広い。これは、ドライバーの左側面視界の向上を前提としたレイアウトだ。そして、左側ドアミラーとその内側に配した補助ミラーで左前輪から前方約7mまでの路面が確認できる“サイドビューサポートミラー”を新設定。コーナー左右を直線状にカットしたフロントバンパーは、最小回転半径と駐車時などの取り回しを考慮したディテール処理である。

 スパーダは、アクセサリーランプ内蔵フロントグリル、フォグランプ、エアロフォルムバンパー、16インチタイヤ+アルミ、テールゲートスポイラーなどの専用アイテムを装備。「エアロパーツは、Cd値(空気抵抗係数)低減だけではなく、16インチタイヤの引きずり抵抗を低減して燃費性能を引き上げるための採用」とメーカーは説明する。

 搭載エンジンは、ストリームと共通のi-VTEC付き2L直4OHC16Vである。新型ステップワゴン用は、スポーティーなチューニングのストリーム用に対して“実用燃費重視のセッティング”とした。吸気抵抗のエネルギー損失(ポンピングロス)やフリクション低減などに配慮し、ステップワゴンのキャラクターに必要十分なスペック(150ps/19.7kg・m)を与え、なおかつ燃費性能を大幅にアップさせる手法をとった。トランスミッションは、FF車がトルクコンバーター付きCVT。4WD車は新たに5AT(旧型は4AT)が設定された。

 メーカーは、「とくに50km/h(約1100rpm)走行域の実用燃費アップに重点を置いた」と説明。燃費向上目的の新アイデアは、エアコンにも及ぶ。「温度センサーを新設して、必要なときに必要な分だけエアコンを作動させ、エンジン負荷を低減した」と。

 そして立体自発光メーターには、アクセル開度などに応じたカラーでエコ運転を支援する“ECOリング”を設置。スピードメーターの中央部分に配したリングが、エコ運転の時間に反応してホワイトからグリーンに変化する機能を装備した点が面白い。

 キャビンは、室内空間と乗降性の大幅改善を目標に、基本レイアウトを構築。スペース性は、拡大した全長と全幅の有効活用だけではなく、室内各部の形状を徹底的に工夫して、居住性を向上させた。頭上空間は「各列で最低限25mm、旧型よりも拡大」が当初のメーカーの目標だった。ルーフサイドに配したハーネスとエアコンダクトの配置変更などの効果で、目標値を上回る数値(1列目30mm、2列目40mm、3列目25mm)を達成。室内長が旧型比で60mm伸びた効果もあり、1列目と2列目の乗員間距離は、旧型に対して100mmワイドになった。

 シートは、2列目がベンチタイプとキャプテンタイプ(中央に補助用の小型シートを配置)の2種類。ベンチ仕様の2列目シートは、旧型ステップワゴン用、キャプテンタイプはモビリオ用がベースである。

 スライドドアの開口面積は、ローラーアームの形状変更などの成果で、上下方向(1230mm)が45mm、前後方向(700mm)は25mm、旧型よりも広くなった。床面地上高(390mm)は、旧型と同一である。

 インパネ回りは、ミニバン独特の見晴らしがいい開放的なイメージ形成を重視。Aピラーは室内から細く見える断面構造とし、フロントウインドー下端を旧型よりも25mm低く設定。前方と側面の視界向上に配慮した。

 スパーダは、専用の本革巻きステアリングとメーター、ブラックの専用インテリアカラーを採用。Dポジションでもシフトチェンジが可能なパドルシフトは、スパーダ専用である。

 3列目シートの格納は、従来型の左右跳ね上げ式から床下格納式に変更した。5ナンバーミニバンの3列シートの床下格納は、クラス初の試みである。格納操作は、背もたれを前に倒した状態で、シートを反転させてフロア下に収めるだけ。3列目の床下格納化は、シート格納時の後方視界と、格納操作性の向上が目的である(3列目格納時の荷室長は1120~1320mm)。

 3列目シートの背もたれは6対4の分割可倒機構が標準で、同じ機能を持つ2列目と連動させて片側を倒せば、キャビン内に長尺物が収納できる。そして、3列目シートの支持アームを座面両サイドに配したため、乗員が3列目に着座した状態でも、シート下のフロアを荷物の積載スペースとして応用できるようになった。

 2列目ベンチシートは、シート横のレバー操作もしくは後部のストラップを引くだけで、タンブル方式で折りたためる。2列目キャプテンシートは、中央部の補助シートを格納すると、センターウオークスルーが可能になる。なお、キャプテンタイプの格納スタイルは、チップアップ方式である。

 さらに広く使いやすくなった積載スペースに合わせて、テールゲートの開口部面積が拡大された。開口高は、従来比で60mm高い1180mm。開口最大幅(1235mm)は、従来比で5mmのプラスだが、3列目格納時の荷室最大幅は、旧型よりも595mmワイドな1425mmに広がった。

 そのほかのシートアレンジとしては、旧型同様に1列目と2列目、2列目と3列目のフラットモードがある。

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