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特集:イタズラなKiss 伝説の“恋のバイブル”アニメで完結(その1)

アニメでよみがえった大ヒットマンガ「イタズラなKiss」のヒロイン・琴子(右)と直樹(左)(C)多田かおる/イタキス製作委員会
アニメでよみがえった大ヒットマンガ「イタズラなKiss」のヒロイン・琴子(右)と直樹(左)(C)多田かおる/イタキス製作委員会

 90年に連載が始まり、約9年間大ヒットを続けた少女マンガ「イタズラなKiss」。少女たちの“恋のバイブル”として人気絶頂のさなか、作者の多田かおるさんが不慮の事故で死去し、未完で連載が終わった。ファンの強い要望でアニメ化が実現し、4月からTBS・CBC系で放送が始まった。多田さんが夫に残したメモと発言を頼りに、ついに結末が描かれる名作復活への道を追った。

 「イタキス」の名で愛された原作は、「愛してナイト」など、少女たちの明るいラブストーリーで人気だった多田さんが、「別冊マーガレット」で連載した作品だ。

 物語は、ドジであまり成績もよくない女子高生・相原琴子が、成績トップで「日本一の天才」と呼ばれ、スポーツ万能、超イケメンの同級生・入江直樹に、入学式で一目ぼれ。3年生となって、思い切って直樹にラブレターを渡そうとするが、直樹はそれを突き返し、「頭の悪い女は嫌いなんだよ」と言い放つ。その晩、琴子の家は地震で崩壊し、父の親友の家に居候することになるが、そこは直樹の家だった……という展開で始まる。

 こっぴどくふられたばかりの直樹と同居することになった琴子は、釣り合わない相手と感じながらも、直樹への思いを募らせていく。直樹の母・紀子は、同居生活ですっかり琴子を気に入ってしまい、その恋を応援する。最初はクールに応じていた直樹が、琴子への態度も少しずつ変わっていく、という恋模様が明るく、切なく描かれ、少女たちの心をとらえた。

 96年には、当時デビューしたばかりの佐藤藍子さん、柏原崇さんのコンビでドラマ化された。人気も急上昇していた99年3月、多田さんが不慮の事故のため脳内出血で急死。9年間の連載にピリオドが打たれてしまったのだった。突然の結末に、編集部には多くのファンが続編を望む声を寄せた。ファンサイトでは、オリジナルの結末を描いた小説やマンガが集まり、台湾では05年からオリジナルのキャストでドラマ化され、視聴率1位を獲得し、アジア13カ国・地域で放送された。同年には水樹奈々さん主演でドラマCDとドラマの日本語吹き替え版も発売された。そして、コミックス(全23巻)は累計2700万部を突破し、人気は全く色あせていない。

 そのころ、アニメ化する少女マンガを探していた「デジタルハリウッド エンタテインメント」の木村元子プロデューサーとアニメ制作会社「トムス・エンタテインメント」の西村政行プロデューサーが多田さんの夫で音楽プロデューサーの西川茂さんに「イタキス」のアニメ化を要請した。

 西川さんはそれまで、夫婦とはいえ作品はあくまで多田さん本人のものと考え、作品は未完のままでいいと考えていたという。だが、「ドラマCDを発売して、公式サイトへのファンからの感想がものすごく多くて、まだこんなに愛されている作品なのかと、びっくりしたんです」と振り返る。心境が変わった西川さんは、木村さんたちの要請を受け、制作が決定。木村さんは「何度もアニメ化を断られ、誰も手を出せない“聖域”のような作品をアニメ化出来た」と喜びを語った。

 「イタキス」アニメ化の最大の課題は、多田さんの急死で連載が終わったため、どういうラストを作るかだ。制作では、まず西川さんが、多田さんの残したメモや草稿、発言をまとめ、ヤマサキオサム監督とシリーズ構成の清水友佳子さんら4人で脚本化することになった。西川さんは「メモには、誰がどうなる、こうなるということは分かるけど、キャラクターは多田しか動かせない」と語り、西村さんは「多くの人が、結末が知りたかった作品。それを自分たちで完結をさせるなんて、大変なプレッシャー。こんなに難しい作業は初めてです。多田先生ならこうするというところまで考えないと成立しないので、書き直しの数もはんぱじゃない。原作のすごさを実感しています」と苦労を語る。

 原作のテンポを生かすため、ドラマCD、台湾版から琴子を演じている水樹さんらに「テンション10倍」で演じさせているという。西村さんは「原作は90年代だけど、ストーリーを修正する必要が全くない。それだけ普遍的なものを描いている」と驚き、「自分がやってきた中で一番評判がいいのに、多田先生に見てもらえないのが残念」と語る。西川さんは「“新しいイタキス”で、多田が描いていた世界がちゃんと見える」と太鼓判を押す。

 さまざまな思いが詰まった「イタキス」は4月の放送から、原作ファンの30~40代の女性はもちろん、10代や男性からの反響も多いという。未完の名作がどんな結末を迎えるか、最終回まで目が離せない。

2008年6月1日

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