これまで、何度もテレビシリーズが放送され、映画化もされた「スター・トレック」を、60年代に制作されたオリジナルのテレビシリーズをヒントに、「M:i:3」やテレビドラマ「LOST」を手がけるJ.J.エイブラムス監督が映画化した。
往年のファンには垂涎(すいぜん)の企画だろう。ジェームズ・T・カーク船長やミスター・スポックをはじめ、チェコフ、スコット、マッコイ、スールー、ウフーラ……これらはすべて、ドラマでは欠かせない顔ぶれだ。つまり、若かりしころの彼らが、どのように惑星連邦軍戦艦「USSエンタープライズ」に乗り込み、苦楽を共にするようになったのかが、“最初の敵”となるロミュラン人との戦いと並行して描かれる。
これまでのJ.J.作品の特徴である、「LOST」のSF、「M:I:3」のアクション、J.J.がプロデュースした「クローバーフィールド/HAKAISHA」のパニック性などをギュっと詰め込んだ密度の高い仕上がり。カークとスポックの成長と2人の関係性、それぞれの両親に対する思いなどを織り込み、ドラマチックな要素も持たせてある。
さらに、オリジナル版でスポックを演じていたレナード・ニモイまでをも登場させる力の入れよう。これがまた、ファン心理をくすぐるのではないか。
テレビシリーズ、映画など、いずれもきちんと見ていなかった筆者でも、SF娯楽作として十分に楽むことができた。往年のファンにはどう映るのかと思っていたら、試写室で観賞後、いかにもファンらしき男性2人が、「次が待ちきれない!」と興奮気味に語り合っていた。どうやら、シリーズのファンにも十分に楽しめる仕上がりになっているようだ。(文・りんたいこ)
2009年5月22日