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「ブラック会社に…」:マ男の必死な走りを見て

映画の一場面。(C)2009 ブラック会社限界対策委員会
映画の一場面。(C)2009 ブラック会社限界対策委員会

 「働けど働けど……」のワーキングプアの若者が主人公。ネット発の同名の原作本は08年に話題になったから、ご存じの方が多いだろう。何社もの不採用の末やっと就職した会社が、“ブラック会社”だった。サービス残業、不眠不休の仕事、人間関係のストレスに安い給料……。うなずける話ばかりだ。

 舞台のほとんどが会社内という絵柄的には難しい中、そこは「キサラギ」の佐藤祐市監督が飽きさせないカット割りで引き込む。主人公の成長をしっかりと刻み込み、元気がもらえる映画に仕上げた。

 主人公のマ男は8年間引きこもった末に、母親の事故死をきっかけに外に出る。やっとの思いで就職した会社は小さなIT会社だった。プログラマーの資格を生かせると、張り切って出社するが、いきなり先輩からいじめの洗礼を受ける。さらに経費も落としてくれない経理のお局(つぼね)さん、くせ者の先輩たち。最悪な人間関係の中、藤田先輩(田辺誠一さん)だけは味方になってくれた。しかし、無理な受注を不眠不休でこなす日々が続き、マ男は「限界」までいってしまう……。

 高校時代にいじめに遭ったマ男が、社会に出てもいじめに遭う。考えてみるとつらい話だが、映画はコミカルで力強い。人生には個人の力ではどうにもならないことがたくさんある。この映画には、そんな困難を笑い飛ばす力があるのだ。マ男の感情の起伏に沿って、ていねいに物語がつづられる。演じる小池徹平さんの真摯(しんし)なまなざしが魅力的だ。彼に共感し、最後まで応援したくなってくる。

 不安な世の中でも生き続けることができるのは、人と人のつながりがあるからこそ。さらには働くことの意味も考えさせられる。ラスト近くのマ男の必死な走りを見てほしい。21日からシネクイント(東京都渋谷区)ほか全国で公開。【キョーコ/フリーライター】

2009年11月22日

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