証言3・11:東日本大震災 松島基地、無念の全員退避 吹雪の中、迫る津波 飛べずに28機全滅

毎日新聞 2012年04月29日 東京朝刊

津波で流され、建物に突っ込んだF2戦闘機=昨年3月12日撮影、航空自衛隊提供
津波で流され、建物に突っ込んだF2戦闘機=昨年3月12日撮影、航空自衛隊提供

 東日本大震災の津波で水没した宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に今月19日、三沢基地(青森県)からF2戦闘機が飛来し、1年1カ月ぶりに訓練が再開された。あの日、アクロバット飛行隊「ブルーインパルス」は九州におり難を逃れたが、基地にあった28機は全滅。損害は航空機だけで693億円に上る。飛ばせなかったのか。トップの基地司令だった杉山政樹空将補(53)=現空自幹部学校副校長=は言う。「全員退避しか選択肢はなかった」【鈴木泰広】

 10機のF2と2機のT4練習機が並ぶ駐機場。整備員約15人を束ねる橋本敏治曹長(43)は激しい揺れに耐えられずしゃがみ込んだ。飛行機が跳ねながら向きを変えていく。

 基地の松島救難隊には76人がいた。震度5以上なら直ちに上空から被害確認にあたる。UH60J救難ヘリとU125A捜索機は外にあったが、佐々野真隊長(45)は「飛ばせない」と思った。揺れで捜索機の前輪が横を向いた。余震の中ではヘリの回転翼が機体をたたく危険もある。何より吹雪で視界が悪く飛べる条件でなかった。

 杉山将補は最初の揺れが収まると、司令部2階の指揮所に駆け込んだ。10分ほどで6メートルの津波が牡鹿半島に来る、との予想をテレビで知る。基地到達まで20分しかない−−。午後2時56分、迷わず全員退避を命じた。

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