福島第1原発:吉田元所長が死去 事故時に現場対応

毎日新聞 2013年07月09日 16時43分(最終更新 07月10日 12時52分)

東京電力福島第1原発の吉田昌郎元所長
東京電力福島第1原発の吉田昌郎元所長

 東京電力福島第1原発事故の際、収束作業を指揮した元所長の吉田昌郎(よしだ・まさお)さん=執行役員=が9日、食道がんのため東京都内の病院で死去した。58歳。葬儀は未定。

 大阪府出身。東京工業大大学院で原子核工学を専攻し、1979年、東電に入社した。本店原子力設備管理部長などを歴任。一貫して原子力の技術畑を歩いた。2010年6月に第1原発所長に就任した。

 11年11月中旬、健康診断で食道がんが見つかり、12月1日付で所長職を退いた。その後、体調が回復し復帰の意向を周囲にもらしていたが、12年7月に脳出血で倒れ、自宅療養を続けていた。吉田さんの事故後からの被ばく線量は約70ミリシーベルト。東電広報部は「担当医の診断の結果、死去と被ばくとの直接的な関係はない」としている。

 吉田さんは事故直後の11年3月12日夜、本店幹部が1号機への海水注入を中断するよう指示したのに対し、独断で注入を継続。中断すれば1号機の燃料溶融がさらに進行した可能性があり、その判断が評価された。官邸から現地に乗り込んだ菅直人元首相は自著で、格納容器の圧力を下げるベント(排気)作業が難航していた際、吉田さんが「決死隊を作ってやる」と決意を述べたことを明らかにしている。

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