今週の本棚・本と人:『瓦礫の中の幸福論』 著者・渡辺淳一さん
毎日新聞 2012年03月04日 東京朝刊
闇屋のバイトで、米兵相手のパンパンに米や酒を配達した。するとお駄賃にチョコレートなどをくれる。「売春しても、米兵にもらったものを僕らに還元してくれた、すばらしいね」
当時は傷病兵が街角で金を無心していた。中には傷病兵のふりをしている者もいたそうだが、「ごまかして片足を曲げたりしているのも大変なんだよ。ご苦労だなと思った」。話を聞いている間、作家はおだやかで優しい笑みを絶やさなかった。
「人間はたくましくて前向きな生き物。自分のしたたかさ、強さを信じてほしい。勝負に負けても負けたなりの生き方ができる。大丈夫、立ち直れる。それを言いたくてね」<文・内藤麻里子/写真・久保玲>