特集ワイド:国会事故調・菅氏の証言、どう聞いたか 井戸川克隆・福島県双葉町長/小出裕章・京都大学原子炉実験所助教

毎日新聞 2012年05月30日 東京夕刊

 原発事故への対応は適切だったのか、責任はどこにあるのか。国会の事故調査委員会で、当時最高責任者だった菅直人前首相が聴取に応じ、「脱原発」にまで言及した。関係者はどう受け止めたのか。住民約7000人が今も避難中の福島県双葉町の井戸川克隆町長(66)と、反原発を訴え続けてきた京都大学原子炉実験所の小出裕章助教(62)に聞いた。【宮田哲、江畑佳明】

 ◇対策決定、責任ずっと−−福島県双葉町長・井戸川克隆さん

 双葉町の井戸川町長は、埼玉県加須市内に移された同町役場で昼まで仕事をし、事故調の会場到着は開会30分後。「前で見たい」と菅前首相から約10メートル、傍聴席の最前列に座った。

 間もなく野村修也委員が、菅氏に冒頭の「おわび」の意味を聞いた。菅氏が「一時的退避と受け止めて避難した人々が長期に避難することになった」ことを挙げると「おわびばかりで何カ月たったのだろう。おわびだけで何も変えないのは大人の言葉ではない」との思いがこみ上げたという。「町民はちりぢりになり、最低の衣食住しかない環境にいる。悔しい。真相を知りたい」との一念で、調査委に足を運び、勝俣恒久・東京電力会長や枝野幸男経済産業相(当時・官房長官)への聴取を傍聴してきた。

 不愉快だったのは、菅氏が、昨年3月15日に東電との対策統合本部を設置してから「物事が進む状況になった」と話したことだ。1号機が爆発した同12日午後3時半過ぎ、町にはまだ、井戸川町長を含め約300人が避難しきれずにいた。爆発音がし、断熱材のかけらが降ってきて服についた。「(15日には)私たちはもう被ばくし、町を出ていた。もっと早い時点で設置できなかったのか」「対応は一刻を争ったのに、爆発の発表も遅れた。初動態勢はまずかった」と唇をかんだ。

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