世界遺産:「富士山」登録決定 「三保松原」含め

毎日新聞 2013年06月22日 17時36分(最終更新 06月23日 00時07分)

雲の合間から姿を現した富士山=静岡県富士宮市で2013年6月22日午後12時26分、本社機「希望」から
雲の合間から姿を現した富士山=静岡県富士宮市で2013年6月22日午後12時26分、本社機「希望」から
静岡市の三保松原(手前)と富士山=2013年6月22日午後0時35分、本社機「希望」から
静岡市の三保松原(手前)と富士山=2013年6月22日午後0時35分、本社機「希望」から

 カンボジアの首都プノンペンで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)第37回世界遺産委員会は22日、日本政府が推薦した「富士山」(山梨、静岡両県)を世界文化遺産に登録することを決めた。山岳信仰や芸術の対象として、日本文化の象徴的存在が高く評価された。構成資産からの除外が勧告されていた国指定の名勝「三保松原(みほのまつばら)」(静岡市)は、委員各国から除外への異論が相次ぎ、登録が決まった。これで、日本の世界遺産は、2011年に登録された小笠原諸島(東京都、自然遺産)と同年の平泉(ひらいずみ)(岩手県、文化遺産)に続き17件目(文化遺産13件、自然遺産4件)となった。

 世界遺産委員会は16日に始まり、21日からは富士山を含む新規案件を審査していた。22日の議論の結果、正式名称は「富士山−信仰の対象と芸術の源泉」と決まった。審議最終日の26日に正式に登録される。

 富士山の構成資産は、富士山信仰で聖域とされる標高1500メートル以上の山域やふもとの浅間神社、白糸ノ滝(しらいとのたき)、富士五湖など。07年に日本政府の暫定リストに掲載、12年にユネスコに推薦された。その後、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が現地調査を実施。イコモスは今年4月、「三保松原」が富士山から45キロ離れていることを問題視。除外する条件付きで「登録」を勧告していた。

 文化庁や静岡県など地元自治体は「富士山信仰、芸術の源泉の両面から不可分である」などとして、構成資産に含めるよう、世界遺産委の各委員国に要望活動を継続。その結果、22日の委員会では、各国から重要さや美しさを評価する意見が相次ぎ、逆転で構成資産に含まれることになった。

 世界遺産委では、開発や土砂流出防止工事による環境への影響を懸念し、16年までに保全状況報告書を提出するよう求めた。山梨、静岡両県は、富士山の入山料の検討を進めているが、環境保全と地域振興のバランスをどう取るのか、議論が続いている。

 一方、イコモスが「不登録」を勧告していた「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)は、この日までに推薦が取り下げられた。今後、地元自治体を中心に再推薦に向けた方針を検討する。【福田隆、プノンペン樋口淳也】

 ◇世界文化遺産

 ユネスコが世界遺産条約に基づき、人類全体にとって保護の必要があると認めた建造物や遺跡などの文化的な遺産を指す。これまで世界各地で745件が登録されている。日本国内には、法隆寺地域の仏教建造物▽古都京都の文化財▽姫路城▽原爆ドーム−−など12件がある。近年は審査が厳しくなっており、来年からの文化遺産の推薦は各国1件に限定される。世界遺産には、文化遺産以外に、自然遺産、複合遺産のカテゴリーがある。

 ◇三保松原

 静岡市清水区の三保半島にある松林。天女が舞い降りたという伝説のある樹齢650年の「羽衣の松」など、約7キロの海岸線に5万4000本の松が茂る。駿河湾を挟んで望む富士山の美しさで知られ、江戸時代の絵師、歌川広重の浮世絵「六十余州名所図会(ろくじゅうよしゅうめいしょずえ)」でも描かれた。1922年に天橋立(あまのはしだて)(京都府)とともに日本初の名勝に指定された。気比(けひ)の松原(福井県)、虹の松原(佐賀県)とともに日本三大松原の一つ。

 ◇「富士山」の構成資産

 富士山の構成資産は次の通り。(1)富士山域(山頂の信仰遺跡群▽大宮・村山口登山道▽須山口登山道▽須走口登山道▽吉田口登山道▽北口本宮冨士浅間神社▽西湖▽精進湖▽本栖湖)(2)富士山本宮浅間大社(3)山宮浅間神社(4)村山浅間神社(5)須山浅間神社(6)冨士浅間神社(須走浅間神社)(7)河口浅間神社(8)冨士御室浅間神社(9)御師住宅(旧外川家住宅)(10)同(小佐野家住宅)(11)山中湖(12)河口湖(13)忍野八海(出口池)(14)同(お釜池)(15)同(底抜池)(16)同(銚子池)(17)同(湧池)(18)同(濁池)(19)同(鏡池)(20)同(菖蒲池)(21)船津胎内樹型(22)吉田胎内樹型(23)人穴富士講遺跡(24)白糸ノ滝(25)三保松原

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