福島原発:事故の爪痕 いまも…がれき散乱、手つかず

2014年03月04日

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4号機原子炉建屋の4階部分。水素爆発によりがれきと化したコンクリートやあめのように曲がった配管は、いまだ手付かずのままだ=福島県大熊町の東京電力福島第1原発で2014年3月4日午後2時23分、西本勝撮影

 ◇規制委職員に本紙記者が同行

 東日本大震災3年を前に東京電力福島第1原発の現場を単独取材した。4号機原子炉建屋では使用済み核燃料プールの核燃料を回収する作業が進むものの、大量のがれきが手つかずのまま残り、今後30~40年に及ぶ廃炉作業の道のりの険しさをうかがわせた。

 現地には、原子力規制委員会の出先機関である原子力規制事務所がある。小坂淳彦・総括調整官のパトロールに同行した。規制委が報道関係者の同行を受け入れるのは昨夏の汚染水問題発覚後、初めてだ。

 ◇4号機原子炉建屋に燃料棒「落とすな!」のスローガン

 まず、廃炉に当たる作業員の拠点となる免震重要棟へ。小坂さんは、東電社員から炉心温度などを聴取すると、4号機原子炉建屋へ移動。昨年11月から使用済み核燃料プールで始まった核燃料の回収作業を見守った。水面の約12メートル下にある核燃料を、専用のクレーンを使って東電社員が1体ずつ抜き取り、専用の輸送容器に収めていく。「落ちるな! 落とすな! はさまれるな!」。こんなスローガンが鉄骨の柱に張ってある。

 3日までに回収が終わったのは、1533体あった核燃料のうち4分の1に当たる418体。プールの透明度は予想以上に高いが、神経をすり減らす回収作業は年末まで続く。

 プールがある5階から仮設階段で地上へ降りる。その途中で見た3~4階付近は、3年前の水素爆発で吹き飛んだコンクリートなどのがれきが散乱し、あめのようにねじ曲がった配管がそのまま残っていた。「早めに通り過ぎてください」。背後から職員の声がする。隣接する3号機原子炉建屋からの放射線量も高い。

 護岸付近では、海へ汚染水が漏れるのを防ぐための遮水壁を建設中だ。小坂さんの同僚が運転する車で向かったが、3号機付近では放射線量が高く、アクセルを踏んで通り過ぎる。「第1原発では、今も現場に行ってみないと線量が高いのかが分からない。できるだけ余計な被ばくは避けたい」(小坂さん)

 ◇汚染水ためるタンクの組み立て作業も視察

 高濃度汚染水をためる溶接型タンクの組み立て作業も視察した。福島第1原発では先月、ボルトで締め付けるフランジ型のタンクから100トンが漏れる事故があったばかり。漏れにくい溶接型を2日に1基のペースで増設しているが、まだ運用は始まっていない。

 小坂さんは「東電が管理の基本を守っていれば防げた事故。やるべきことがやられていなかったのが問題だった。本来あるべき原子力管理の姿を取り戻すのが私たちの課題だ」と語った。約5時間の取材を終えて持参の線量計を見ると累積51マイクロシーベルトだった。換算すると帰還困難区域の約2倍にあたる。【中西拓司】

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