ひと:米澤穂信さん=今年のミステリーランキング3冠

2014年12月10日

1枚目/1枚中

米澤穂信さん=小出洋平撮影

 ◇米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)さん(36)

 今年のミステリー小説ランキング国内部門で1位を独占した。評論家、書店員、ミステリー愛好家らが選ぶ「ミステリが読みたい!」(早川書房)▽「週刊文春ミステリーベスト10」(文芸春秋)▽「このミステリーがすごい!」(宝島社)の三つ。いずれも点数で2位に大差をつけた。

 これまでも「追想五断章」「折れた竜骨」などでベスト10入りしていたが、初の3冠。「今まで若い読者が多かった。幅広い読者が読んでくれないと、ランキングで上位に行くことはできないのでうれしいです」

 3冠になった「満願」は短編集。かつてミステリーといえば短編が輝いていた時代があった。自身も泡坂妻夫や連城三紀彦らの短編が好きで、「僕らが読んで育ったあの、本棚の特別な位置にあった短編集を作ろう」と執筆。鮮やかな奇想は定評があるところだが、それにほどよい心理ドラマが加わった。今年は同書で山本周五郎賞も受賞した。「ミステリーを生かすにはどうしたらいいかばかり考えていました。ミステリーを突き詰めれば、小説としての味わいにつながるのだと初めて知りました」。実は、30歳を目前にした頃、「それまでの青春小説から、大人向けを意識するようになった」と明かす。

 自身を「ローギアなタイプ」と分析する。その心は「出だしは遅いが、たいていの坂は上っていく」。酒は体質に合わず、趣味は洋館や庭園巡り。こつこつと歩みを進める。<文・内藤麻里子/写真・小出洋平>

………………………………………………………………………………………………………

 ■人物略歴

 岐阜県高山市生まれ。2001年「氷菓」でデビュー。11年「折れた竜骨」で日本推理作家協会賞。

最新写真特集