地下鉄サリン:証言で20年前再現 西村泰彦・内閣危機管理監に聞く

2015年03月20日

1枚目/1枚中

西村泰彦・内閣危機管理監

 ◇サリンの知識、不足していた

 −−事件発生当時、機動隊を運用する警視庁警備1課長だった。どのように事件を把握したのか。

 通勤中の公用車の中で警備部の当直責任者から「地下鉄で同時多発爆弾テロが発生した」と電話を受けた。その後の情報を聞くと炎も煙もない。爆弾テロではなく化学テロではないかという状況になった。機動隊員に松本サリン事件後に調達した防護服を着装させ、駅に入らせた。被害者の避難誘導や救出、不審物回収が使命だった。

 −−原因物質がサリンと聞いた時にどう感じたか。

 すぐにオウム真理教とは結びつかなかった。これは事件の教訓につながるが、サリンの毒性や製造方法、原材料についての知識が不足していた。知識があれば松本サリン事件で無関係の人を容疑者扱いすることもなかった。特殊で閉鎖的な犯罪組織に関する情報収集体制も不十分だった。警察法が改正され改善したが、当時は都道府県警察の管轄区域の問題があり、熊本や山梨などで教団の関与が疑われる事件が起きていたのに警視庁が捜査に関わることができなかった。化学テロに対する資機材も不十分だったが、事件を機に専門部隊が創設された。

 −−テロに備えて各機関の連携に問題はないか。

 2004年度に国民保護法が施行され、今年度までに延べ121の都道府県で警察や自衛隊、消防、自治体が参加した共同訓練を実施している。関係機関で顔の見える関係ができつつある。ただ、5年後の東京五輪・パラリンピックに向け、サイバーテロ対策を含め、セキュリティー体制をどう構築するかが政府の課題だ。

 −−イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)が日本を標的にすると表明した。

 テロの脅威を身近に感じる意識は持ってほしいが、日本をターゲットにしたテロ情報は今のところなく、必要以上に不安にならなくていい。今の安全を守り、テロを未然に防ぐための対策が重要だ。【聞き手・川辺康広】

最新写真特集