三重のクマ:4年前滋賀で捕獲 DNAを分析 専門家「一帯、既に生息域」

2015年07月14日

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5月にクマを捕獲した場所など

 今年5月、三重県内で捕まった後に隣の滋賀県側に無断で放されて問題となったツキノワグマは、2011年にも滋賀県内で捕獲されていたことが、森林総合研究所のDNA解析で分かった。この一帯にクマは定着していないとされてきたが、専門家は「既に生息域となっていたことが裏付けられた」と指摘する。

 クマは5月17日に三重県いなべ市の養老山地で捕獲され、同日中に滋賀県多賀町の鈴鹿山脈に放された。10日後に同町内で女性がクマに襲われ、滋賀県が三重県に抗議したが、森林総研東北支所(盛岡市)の大西尚樹主任研究員によるDNA分析で、放されたクマと襲ったクマは別の個体だったと判明した。さらに、大西研究員が周辺で捕獲されたクマのDNAと比べると、4年前の11年10月に鈴鹿山脈西側の滋賀県東近江市で捕獲され、その後放されたクマと遺伝子型が一致した。

 鈴鹿山脈の北にある滋賀・岐阜県境の伊吹山地には以前からクマが生息し、今回捕獲されたクマとDNAの系統が同じ。12年にも東近江市で別のクマが捕獲され、伊吹山地で暮らすクマが南下して三重・滋賀県境の鈴鹿山脈や岐阜・三重県境の養老山地の人里近くに分布を広げるようになったと考えられるという。

 全国でも00年以降、狩猟の減少などでツキノワグマの生息域が急速に広がっている。大西研究員は「地元の山にはクマはいないという考え方を変える必要がある。県単位でクマ対策をしても意味がなく、広域的な管理をすべきだ」と話す。【足立旬子】

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