歌壇・俳壇
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短歌に生きた人生、形に 三周忌に遺歌集「冬の星座」 毎日新聞埼玉版元選者の水野昌雄さん /埼玉
2023/6/1 05:01 1557文字2021年3月まで12年にわたり毎日新聞埼玉版「短歌」欄の選者を務め、同5月に91歳で亡くなった歌人、水野昌雄(本名・横井源次郎)さんの最後の歌集「冬の星座 水野昌雄歌集」(いりの舎)が出版された。三回忌を迎える23年、水野さんの誕生日の4月24日に刊行。妻の横井悦子さん(89)は「生涯の大半を、
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毎日俳壇
西村和子・選
2023/5/29 02:02 361文字寿福寺に今日流鶯(りゅうおう)のほしいまま 千葉市 本多悠天<評>鎌倉の寿福寺は、北条政子、源実朝、高浜虚子の墓どころ。ウグイスのなめらかな鳴き声に死者も聞き入っているだろう。菜の花の果てが地の果て潮けむり 加古川市 中村立身<評>地平線まで菜の花の黄色。その向こうに海の青と潮けむり。単純明快な風景
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毎日俳壇
井上康明・選
2023/5/29 02:02 352文字メーデーや姿勢崩れぬ盲導犬 志木市 谷村康志<評>メーデーのデモ行進の中に盲導犬がいる。5月1日の日を浴びて人々は疲れ気味だが、盲導犬はいつも前を向き姿勢正しい。夏蝶(なつちょう)のあでやかな死を掌(て)に包む 武蔵野市 相坂康<評>羽の模様が美しいアゲハチョウのむくろを手に包む。けんらんたる美しさ
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毎日俳壇
片山由美子・選
2023/5/29 02:02 347文字桜蘂(さくらしべ)ふる公園に砂の城 東京 吉田芳子<評>花時はとうに過ぎ、名残のように赤いしべが散らばっている公園。砂場に作られた砂の城を中心としたことで鮮明な一句に。正面に天守閣あり凧(たこ)合戦 神戸市 田代真一<評>行事の「たこ揚げ」は春の季語で静岡や長崎などのたこ合戦が有名。勇壮な場面を思う
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毎日俳壇
小川軽舟・選
2023/5/29 02:02 343文字夏草や妻の手を引く雲母(きらら)坂(ざか) 下野市 石井光<評>雲母坂は京都から比叡山に登る古道。地名に味わいがあり、妻をいたわる夫の姿が象徴的に描かれている。しゃぼん玉割れて微(かす)かに空濡(ぬ)らす 東京 木幡忠文<評>感覚的な句だ。しゃぼん玉の割れたしぶきが、はるかな青空をかすかにうるませた
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毎日歌壇
加藤治郎・選
2023/5/29 02:02 475文字介護していたのか君は毎日を遺(のこ)した短歌死後読んで知る 川西市 那須三千雄<評>妻が私を介護していたのだろう。私はそれを認知できなかった。回復した後、献身的な亡き妻の思いを短歌で知ったのだ。十字路でどの道見ても七七八 七七八 七八九八 七八七六 東京 人子一人<評>前衛的な作品だ。四つの道が音数
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毎日歌壇
水原紫苑・選
2023/5/29 02:02 481文字花冷えのぼくは死んだと見せかけて口から紋(もん)黄(き)蝶(ちょう)を噴き出す 岩沼市 アナコンダにひき<評>モンシロチョウではなくモンキチョウの鮮やかな黄色に詩の毒が感じられる。誰に見せようとするのか。暮れなずむ工場街を急ぎつつ臓腑(ぞうふ)の青さについて話した 三鷹市 菅原海春<評>内臓が赤でな
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毎日歌壇
伊藤一彦・選
2023/5/29 02:02 458文字スマホ見の人が歩けるのはきっとスマホを見ない人が避けるから 明石市 小田慶喜<評>「歩きスマホ」の人は他人に迷惑をかけてないと思っているかもしれないが、実際は違うと作者はやんわりと忠告。夢の中ですら楽には生きられず覚めたら虚空に右手伸ばしおり 奈良市 久保祐子<評>夢の中でも苦しいことに直面。下の句
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毎日歌壇
米川千嘉子・選
2023/5/29 02:02 474文字名が読めぬたびに時代を嘆きつつ教師はようやく点呼終えたり 京都市 小池ひろみ<評>何でも時代と直結して批判されるけれど、その時代に生まれて育つ作者には別の風景が見え、別の言い分がある。「脱毛顔パックしてます」と関取「肌を晒(さら)す仕事ですから」 前橋市 西村晃<評>高性能の画面に大写しになる時代の
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新刊
句集
2023/5/29 02:02 386文字◇仁平勝『デルボーの人』 第4句集。読者は本歌取りやパロディーを楽しみつつ、日常生活に存在する俳句的発見を本書から見いだすだろう。<づかづかと夏の踊り子号に乗る><人形に女と男盆の月><寒紅(かんべに)を加へこけしの仕上がりぬ>(ふらんす堂・3080円) ◇石井いさお『過客』 第4句集。山口誓子創
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新刊
歌集
2023/5/29 02:02 414文字◇水原紫苑『天國(てんごく)泥棒』 ふらんす堂ホームページの「短歌日記」で2022年に掲載された365首を収録。自在な発想で研ぎ澄まされた美意識の時空を創る。<オルセーの時計をわれの時計とす 水色のゴッホ老ゆることなし><天國泥棒愉(たの)しからずやたましひは牡蠣(かき)と舞茸(まいたけ)のパスタ
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点字毎日 点毎俳壇 桑田和子・選
2023/5/28 10:07 1051文字いま ケーキ むかし ひしもち ひなまつり 岐阜県 傍島丈純(たけよし) 【評】ひな祭りは3月3日に女児の息災を祈って行われる行事で、古くは桃の節句、ひな遊びなどといわれた。ひなに桃の花を飾り、白酒・ひし餅・あられなどを供えて祝う。今はひし餅の代わりにケーキを供えているようだ。ひな壇も七段、五段飾り
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「芭蕉翁献詠俳句」を募集 特選句 10月、伊賀の俳聖殿で披露 /三重
2023/5/28 05:07 693文字松尾芭蕉の生誕地の伊賀市と同市の芭蕉翁顕彰会は2023年の「芭蕉翁献詠俳句」を募集している。一般の部は、選者が22年より2人、通常より3人少ない14人、特選句は28句になる。特選句は芭蕉の命日に当たる10月12日、伊賀市上野丸之内の俳聖殿で開催される第77回芭蕉祭で、披露、表彰される。 顕彰会によ
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「愛」テーマに短歌 三十一文字コン作品募集 白石町 /佐賀
2023/5/26 05:05 363文字白石町は「第24回歌垣の里・白石 三十一文字(みそひともじ)コンテスト」の作品を募集する。「愛」をテーマにした短歌で、未発表の自作であることが条件。受付期間は6月1日から9月29日(当日消印有効)。 一般、高校生、中学生、小学生の4部門があり、1人2首まで。はがきに住所、氏名、電話番号、高校生以下
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芭蕉翁献詠俳句を募集 一般の部 通常より選者3人減 伊賀 /三重
2023/5/26 05:03 693文字松尾芭蕉の生誕地の伊賀市と同市の芭蕉翁顕彰会は2023年の「芭蕉翁献詠俳句」を募集している。一般の部は、選者が22年より2人、通常より3人少ない14人、特選句は28句になる。特選句は芭蕉の命日に当たる10月12日、伊賀市上野丸之内の俳聖殿で開催される第77回芭蕉祭で、披露、表彰される。 顕彰会によ
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籐椅子の刻の凹みに沈みつつ 年間大賞に須藤さん 文園俳句「自分らしさ出したい」 /群馬
2023/5/23 05:09 337文字2022年4月~23年3月に投稿された作品を対象にした毎日文園俳句年間大賞に安中市の須藤恵美子さん(70)の「籐椅子(とういす)の刻(とき)の凹(くぼ)みに沈みつつ」(22年8月度月間賞)が選ばれた。 3年ぶりの受賞に須藤さんは「びっくりしているし、本当にありがたい。古希になり、一からやり直そうと
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毎日俳壇
小川軽舟・選
2023/5/22 02:00 351文字薫風やバイト募集の幟(のぼり)立ち 大津市 横川和醸<評>コロナ禍が落ち着き、飲食店に客が戻ったが、今度は人手不足が深刻。風にはためくのぼりに店主の切実さを感じる。メーデーや道頓堀を見て過ぎる 京田辺市 加藤草児<評>御堂筋を行進すると、道頓堀のにぎわいが気になった。ちょっとしたおかしみがある。行く
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毎日俳壇
西村和子・選
2023/5/22 02:00 365文字真つ先に懐く子猫を貰(もら)ひ受く 横浜市 斎藤山葉<評>何匹かの子猫の中から、好きなのをあげますと言われたのだろう。素直な人情と可愛さが伝わってくる。思ひ出は途切れ途切れにしやぼん玉 相模原市 谷岡栄<評>しゃぼん玉がかたちをとどめている間ほどの、はかない思い出。だからこそいとしい。おはやうを投げ
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毎日俳壇
井上康明・選
2023/5/22 02:00 328文字万歳のポーズで滝に飛ぶ子かな 島根 重親利行<評>滝つぼへ向かって傍らの岩から飛び込むのだろう。万歳のポーズをとると岩を蹴って、そのまま一気に落ちてゆく。初夏やルーペ備へし郵便局 平塚市 日下光代<評>郵便局には、老眼の人のためにルーペがある。書類の字がよく見える、夏初めのひととき。芋畑や太閤ここに
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毎日俳壇
片山由美子・選
2023/5/22 02:00 368文字みづうみの日ざしに透けて若楓(わかかえで) 土岐市 水野雅子<評>木々の新緑はみな美しいが、日差しに透けるカエデの緑は特にあざやかだ。湖面の反射光のまぶしさがいかにも初夏らしい。桜蘂降(さくらしべふ)る木造の校舎かな 土浦市 今泉準一<評>昔ながらの学校を思わせる。花の季節が過ぎ、新学期の教室も落ち
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