/200 澤田瞳子 画 村田涼平
再度、満面の笑顔を向けてから、額田(ぬかた)は大(おお)海人(あま)の側を離れた。入れ替わりに篝火(かがりび)の光の中に飛び出した官人には目もくれず、手近な軍…
<恋ふらむ鳥は>飛鳥時代に活躍した歌人の額田王を主人公に、日本の礎が築かれた変革期の時代に迫ります。作・澤田瞳子さん、画・村田涼平さん。
再度、満面の笑顔を向けてから、額田(ぬかた)は大(おお)海人(あま)の側を離れた。入れ替わりに篝火(かがりび)の光の中に飛び出した官人には目もくれず、手近な軍…
先ほど以上にけたたましい笑いが、蒲生(がもう)野(の)を揺らす。湧き起こったやんやの喝采に応じるように、大(おお)海人(あま)は空の盃(さかずき)を大きく掲げ…
茜(あかね)に紫、紅、藍。墨に土針(つちはり)(黄緑)、橡(つるばみ)(紺黒)、縹(はなだ)(水色)。こうして胸の中で色を呟(つぶや)けば、それにふさわしい言…
「日のある間に蒲生(がもう)野(の)にお戻りになるためでしょう。汀(みぎわ)に近い街道を、いっさんに北から南へと駆けておられました。ただ、そんな方角に狩場はない…
「大田(おおた)が亡くなれば、讃良(さらら)は更に驕(おご)るだろう。さりとて大(おお)海人(あま)にそれを撓(たわ)められるとは思えぬし、大友(おおとも)はあ…
「孕(はら)み鹿だったゆえ、大田(おおた)のためにも捕らえたかったのだがな。まだ母鹿の胎(たい)におる仔(こ)鹿の肝は、万病に効くと聞いたゆえ」 葛城(かつらぎ…
まんじりともせぬまま夜を過ごして起き出せば、明るみ始めた空の下で、男たちがそれぞれの馬の背に鞍(くら)を置いている。狩りだけに挂甲(けいこう)草摺(くさずり)…
「そんなはずはないでしょう。私は背の君から聞いて、知っているのよ。そなたの目には、この世のすべてが濃淡ある墨色にしか映らぬのだと。そなたがいつも奇妙な色合わせの…
「そうよ。明日摘む薬草は、すべて父さまに奉らねばならぬのだもの。背の君の衣を染めるための茜草(あかねぐさ)を先に集めるぐらい、別に構わぬでしょう」 白く小さな五…
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