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野球を諦めない

/3 女子だって夢はプロ

同級生のライバルに囲まれながらプロ選手を目指す平田紗希さん(左から2人目)=仙台市泉区で

 <第88回選抜高校野球>

     雪が舞う1月の東北。二十歳前の女性たちが自転車で仙台市郊外にあるビニールハウスに集まった。女子プロ野球チーム「レイア」の7人だ。冬場はハウスで練習に励む。2年目のシーズンを迎える平田紗希さん(19)は、1人だけプロではない練習生。入団テストに5回落ちたが、「応援してくれる人のために諦めない」とバットを振り続ける。

     女子野球の裾野を広げるため2009年に日本女子プロ野球リーグが発足した。埼玉、京都、兵庫の3チームがリーグ戦で競う。レイアの役割は、高校を卒業したばかりの若手の育成。選手はテストに合格したプロだがリーグ戦には出ない。体力と技術力の向上に集中し、2年後に3チームいずれかへの移籍を目指す。

     レイアにはアカデミー制度があり、プロを目指す練習生を受け入れている。平田さんはその1期生。午前中は他の選手と練習し、午後は球団スタッフとして働く。試合中はスタンドでファウルボールに注意を促す笛を吹き、球を拾う。ファンとの交流会の準備もする。同期のプロを見ると「私だけが格下」と惨めな思いをしてきた。

     横浜市生まれ。小学3年の時、3歳下の弟と少年野球チームに入った。中学に女子野球部がなく、ソフトボール部に転じたが、広いグラウンドで長打を放つ野球が忘れられなかった。そのころ、日本女子プロ野球リーグができた。憧れの女子プロの試合を観戦し「やっぱり野球がしたい」と思い直した。硬式野球部がある蒲田女子高(東京都大田区)に進んだ。中学での経験者もいてレベルは高かったが、帰宅後も素振りを続け、2年の冬に背番号「9」をもらった。3年に進級する春、埼玉県であった女子の「センバツ」で優勝。「器用ではない」と自覚しており、時間をかけて地道に努力してきた。

     仙台に来てもうすぐ1年。ファンもできた。埼玉県内で昨年秋にあったイベントで知り合った女の子が写真をくれた。「紗希お姉ちゃん、がんばって」と書いた紙を持っているカットだった。

     野球少女たちが活躍する場も増えてきた。全国高校女子硬式野球連盟によると、1997年夏の第1回選手権大会は5チームで行われたが、昨年夏は20チーム。平田さんは「プロになり、子どもの夢になりたい」と願っている。まずは自らの身を立てることに集中する。「くじけてもはい上がれる」。この夏に6回目のテストがある。【武内彩】=つづく

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