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10人の飛躍

センバツ・不来方/上 「練習は打撃9割」 好きなことを磨き伸ばす /岩手

不来方の選手らは結束を強め、県大会に臨んだ=盛岡市三ツ割の県営野球場で昨年9月9日

 <第89回選抜高校野球>

     第89回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)に21世紀枠で出場する不来方。部員10人ながら、昨秋の県大会で準優勝するなど実績を積み上げた。3年生が引退して新チームが発足した当初、戦力は不安視され、周りは「盛岡地区を勝ち進むのも難しい」と考えていた。そこから10人の選手たちは、甲子園まで駆け上がっていく。【佐藤裕太】

     「練習は打撃9割」。昨夏、新チームが発足した後、小山健人監督は思い切った決断をした。

     3年生が引退する前のチームは、守備を重視していた。当時もエースだった小比類巻圭汰主将(2年)と正捕手の菊池康太選手(2年)は残ったものの、新チームはこれまでだったら打ち取っていた打球をアウトにできない。少人数で満足に守備練習ができない影響が出ていた。小山監督は「練習していて悲しくなった」という。

     そこで、弱点克服とは逆の方向にかじを切ることにした。「守備がうまくなれば負ける可能性が下がる。でも、勝つ可能性を上げるには得点力を高める必要がある」と考えたからだ。

     新チームは、打撃が好きな選手が多い。十分な守備練習ができない環境を逆手に取って、好きなことを磨いて伸ばそうという意図もあった。打撃投手2人と、打撃マシン1台を相手にバットを振る。人数が減った分、多く打席に立てるようになった。

     昨年8月の練習試合。県内の強豪校の2軍相手に7-0で勝ち、打力を褒められた。「小比類巻が試合を作り、打ち勝つ」。チームの方向性が定まった。

     ところが、盛岡市の県営野球場で迎えた公式戦初戦でつまずく。同月28日の秋季盛岡地区予選1回戦。盛岡一に0-6で惨敗した。敗者復活戦もある大会で、勝ち抜くために今後の登板間隔を考えた小山監督の采配で小比類巻主将を温存したのが裏目に出た。

     「この『背番号1』は何なんだ!」「一人で投げ抜いてみせる」。試合後のミーティングで、小比類巻主将が声を荒らげて言い放った。主将の「一戦必勝」の思いが、他の選手らに伝わった。

     9月1日の敗者復活戦では、小比類巻主将が江南義塾に完投して9-5で勝利する。次戦の平舘にも13点を奪って快勝し、県大会に進んだ。初戦の敗戦がチームの結束を強めた。

     人数が少なく一人の練習量が増えたことで、経験を積むごとに考えて野球に取り組むようになっていった。チーム力が例年以上の早さで上がっていくのを、小山監督は感じていた。その勢いは県大会へと続いていく。

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