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飛躍の春

センバツ2017 東海大市原望洋 第3部・支える人たち/2 OBの中山慎太郎さん /千葉

トレーニング法を山口桂吾さん(右)に指導する中山慎太郎さん=市原市能満の東海大市原望洋高校で

 <第89回選抜高校野球>

    悩める選手の相談役 夢追う合間、指導に情熱

     2月18日午後。野球部のグラウンドの片隅で、控え投手らに投球やトレーニングの方法を熱心に指導するOBの姿があった。社会人野球のクラブチーム「千葉熱血MAKING」のエース的存在、中山慎太郎さん(24)だ。「高校時代は何も考えずがむしゃらに練習していた。当時の自分と同じように『もがいている選手』に少しでも近道をしてほしい」と、投手らの悩みを聞き、その原因を見つけてアドバイスする。

     この日、中山さんの指導を受けていた一人が山口桂吾さん(2年)。中学時代から四球が多いのが悩みだ。制球が定まらない理由を「投球の途中で頭と手の位置が離れてしまうため」と考えて改善を図ってきたが、自分の感覚頼みの練習ではなかなか成果が表れず、苦しんできた。

     フォームを見た中山さんは「体ごと投球フォームに入るから頭がぶれてしまう」と原因を分析。頭を固定して「背骨をひねる」動きを確認しながら、ゆっくりと投球するよう助言した。言われた通りにやってみた山口さんは「いいイメージができた」と早くも手応えを実感している。「今後も続け、春の県大会ではベンチ入りしたい」と笑顔を見せた。

     「ただ練習すればいいのではない。間違ったことを続けていると悪い方向に行ってしまう」。中山さんは強調する。高校時代は練習量では誰にも負けなかった。3年生の夏の千葉大会で2番手投手としてベンチ入りし、進学先の千葉工業大でもプロを目指して野球を続けた。しかし量重視の練習がたたり、大学最後の大会で右肘を痛めた。プロ入りを諦め、卒業後は不動産会社に就職すると同時に千葉熱血に入部した。

     平日は仕事を終えて帰宅した後、「いかに効率よくできるか」を考え、1時間集中して練習。土日は千葉熱血でプレーを続け、2015年5月にあった全日本クラブ選手権県大会決勝のYBC柏戦を1失点で完投した。これが自信となり「もう一度、野球でご飯を食べていけるレベルを目指したい」とその年の12月に退職。今は千葉市内のスポーツジムでトレーナーのアルバイトをしながら練習に励む。「回り道したかもしれないが、考えて練習することの重要性に気づけた」と言う。

     望洋にはそんな忙しい日々の合間を縫って足を運ぶ。2月18日の帰り際。毛利航大投手(2年)から「またラインしてもいいですか」と尋ねられると「もちろん」と快く応じた。頻繁に来られない分、ラインでも選手たちの相談に乗っている。10年のセンバツ出場時、自身は3年生だったがベンチ入りはできなかった。「センバツで結果が出せるよう、選手たちには今何をするのがベストかを考えながら練習してほしい」

     会社を辞めて2年目となる今年を「勝負の年」と位置づける。スライダーやフォークなど変化球を中心に打たせて取る投手だが「直球あっての変化球」と、直球にも磨きをかけている。後輩たちの甲子園での飛躍を祈りつつ、自らも高みを目指す。=つづく

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