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第89回選抜高校野球 多治見高に表彰の盾 応援団賞優秀賞「地域に贈られた賞」 /岐阜

中村支局長(右)から表彰の盾を受け取る応援団長の山田さんら=多治見市坂上町の多治見高校で

 <第89回センバツ>

     第89回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で応援団賞の優秀賞に輝いた県立多治見高校(多治見市坂上町)に10日、毎日新聞岐阜支局の中村宰和支局長から表彰の盾が贈られた。

     甲子園には地元から約4000人が駆けつけ、市の花・キキョウをイメージした紫のジャンパーと白のトレーナーを着て応援。躍動感や1球ごとに選手を後押しする声援が高い評価を得た。

     授賞式は同校体育館で開かれ、応援団長を務めた野球部員の山田涼太さん(2年)、男子リーダーの浜部玲央さん(3年)、チアリーダー代表の工藤妃奈さん(同)、吹奏楽部長の加藤美有さん(同)の4人が壇上に上がり、山田さんが盾を受け取った。佐藤昂気主将(3年)が選手を代表し「たくさんの応援ありがとう。大敗しましたが、最後まで戦い抜けた。夏に向けて、また頑張っていきます」と感謝の言葉を述べた。

     授賞式の後、団長の山田さんは「生徒には応援練習から真剣にやってもらい、一番感謝している。4000人のアルプススタンドを見て地域の人たちに支えられていると実感した」、工藤さんは「応援練習は勉強や部活の合間に1日2時間くらい取り組んだ。賞をもらえてうれしい」と喜びを語った。高木裕一監督は「スタンドのほとんどは地域の人たち。学校が代表して受けたが、地域が受賞した賞だ。本当にうれしい」と話した。【小林哲夫】

    大差にも諦めず 生徒600人、肩組み熱唱「心一つに」

     大差をつけられても、アルプス席を埋めた多治見の応援団は諦めていなかった。守備でストライクを一つ、アウトを一つ取る度に歓声が上がった。攻撃中に安打を放つと、生徒たちは小躍りして喜んだ。

     六回の攻撃前、生徒約600人が、ゆずの「栄光の架橋」を熱唱した。歌を聞くまで、とても不安だった。応援団は3月12日、岐阜市の長良川球場で甲子園を想定した応援の練習をした。「栄光の架橋」を歌う練習では、男子生徒と女子生徒の歌声がずれ、途中から何の曲を歌っているのかわからなくなり、「大丈夫か」と思った。応援団長の山田さんは「このままでは選手の気持ちも上がらない。一人一人、ちゃんと合わせて歌おう」と団員に呼び掛け、翌日から練習を重ねた。迎えた甲子園のスタンド、歌い始めた瞬間に不安は吹き飛んだ。全員が歌声を合わせて球場全体に響かせ、肩を組んで左右に揺れ、「心が一つになっている」ことがよくわかった。

     八回には、センバツの入場行進曲「恋」に合わせた「恋ダンス」を甲子園で初めて踊り、先頭打者の三戸悠平選手(2年)がチーム3本目の安打となる中前打を放って応えた。九回、0-21となっても、応援団は下を向かず、「恋ダンス」を何度も披露し、最後まで反撃を信じた。山田智也捕手(3年)は「点差が開いていたのに、今まで以上の大きな声援が聞こえ、ここまで応援してくれるんだと励みになった」と話す。野球部の丸山真部長は「ベンチの中で、私や選手たちは『何点取られてしまうのだろう』と、何度も心が折れそうになった。そんな時にスタンドを見ると、大声援があり、支えられた」と振り返る。

     試合終了後、勝利した報徳学園(兵庫)の校歌が流れると、多治見の生徒たちが手拍子していた。すがすがしい光景だった。アルプス席に走ってきた選手たちが整列して一礼すると、大きな拍手とともに「夏にまた連れてきてくれ」「本当にありがとう」と、温かい声が飛んだ。高木裕一監督は「大差で敗れ、何をやっているんだという厳しい声があっても仕方ないと思っていたので、涙が出た」と言う。山田捕手は「今度は期待に応えたい」と誓った。

     多治見のスタンドには笑顔があふれ、生徒たちが心から応援を楽しんだ。試合後、涙が止まらないチアリーダーの姿も見た。ちょうど2時間の甲子園での試合を応援し、生徒たちは何かを感じ取り、成長につながったに違いない。今回の優秀賞は、選手たちを励まし続けた応援団の一人一人に、そして地域を挙げた応援に贈られた賞だと思う。【中村宰和】

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