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甲子園にタイブレーク 投手の負担に配慮 日程消化、国際大会対応も

 来春の第90回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の第1回運営委員会(委員長=八田英二・日本高野連会長)が19日、大阪市西区の中沢佐伯記念野球会館で開かれ、日程や延長十三回からのタイブレーク導入などが決まった。

     大会は来年3月23日から13日間(準々決勝翌日の休養日を含む)、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われる。出場校は例年より4校多い36校(一般選考32、21世紀枠3、神宮大会枠1)。21世紀枠の特別選考委員14人と一般選考の選考委員56人の委嘱も承認された。21世紀枠特別選考委員には、阪神電鉄相談役の坂井信也さんが加わり、浅井愼平さんは退任した。出場校を決める選考委員会は来年1月26日、組み合わせ抽選会は同3月16日、いずれも大阪市北区の毎日新聞大阪本社オーバルホールである。小中学生をバックネット裏に招待する「ドリームシート」は引き続き実施する。

     センバツでのタイブレークの詳細は11月までに詰める。夏の選手権大会について竹中雅彦事務局長は「導入の方向になると思う」との見通しを示したが、同地方大会については「今後の会議で検討する」と話すにとどめた。【安田光高】

     新たに委嘱された9人の選考委員は次の各氏。

     河原丈久(66)=日本高野連理事▽高多倫正(63)=元住友金属監督▽山崎浩(57)=大阪府野球連盟審判長▽佐々木明志(54)=岩手県高野連理事長▽森淳二(64)=愛知県高野連理事長▽依田和浩(48)=長野県高野連専務理事▽伊原登(67)=大阪府高野連理事長▽二神弘明(51)=愛媛県高野連理事長▽升川清則(56)=兵庫県教委体育保健課長

    健康管理 休養日確保が課題

     高校野球もついに人工的な形で決着をつける方向にかじを切った。日本高野連が甲子園大会での導入を決めた延長十三回からのタイブレーク制度。来年のセンバツ90回、夏100回の節目を前に大きな転換期を迎えた。

     採用を決めたのは、引き分け再試合による投手の負担への配慮のほか、スムーズな日程消化、タイブレークが採用されている国際大会を戦う上で慣れる必要があるとの理由からだ。

     春と秋の都道府県大会ではすでに14年からタイブレークの採用が認められている。日本高野連が都道府県高野連へ実施状況を調査した結果、タイブレーク開始から終了までの平均イニングは1・3回。延長十三回から始めれば、十五回よりも前に終わる計算となる。

     健康管理の観点から、日本高野連では球数や投球回の制限も検討したが、竹中雅彦事務局長は「投手力が豊富な強豪校が有利に働き、9人のチームで投手1人に制限を課してフェアな勝負ができない」とし、不公平感を生まないため次善の策としてタイブレークを取り入れた。ただ、タイブレーク導入による効果は限定的だ。2008年からの10年間で、延長十三回以上の試合は夏が1回、センバツは9回にとどまる。

     出場校に幅広く恩恵をもたらすには、休養日を確保する必要がある。今年のセンバツでは、雨天順延と再試合によって2日以上日程が延びたため、休養日が消滅した。竹中事務局長は「休養日が必ず取れるように甲子園球場に要望していく」と強調した。

     1969年夏の決勝で延長十八回引き分け再試合の2試合を一人で投げ抜いた三沢(青森)の太田幸司さんは「走者を出さないで120、30球を投げるよりも走者を置いて70球投げる方が心理的な負担がかかる分、疲労は大きくなる」とタイブレークが必ずしも投手の負担軽減につながらないと指摘する。連投などによる肩肘にかかる負担やけがなどは選手個々によって異なり、「タイブレークという一律の枠組みをはめるのはどうか」と話す。

     13年春に決勝まで進み、5試合で計772球を投げ、議論を呼んだ済美(愛媛)の安楽智大(現楽天)は「高校生はあの舞台を目指してやるわけだからプロに行きたいというより、甲子園でやりたいという思いが強い。肘がどうのとか言われるが、772球投げたのは誇り」と言い切る。

     一方、竹中事務局長は「故障を抱えながらも肘が折れても投げたいというのが選手の気持ち。ただ、それを止めるのも指導者」という。球児の心情に配慮しつつ、身体的な負担をどう解消するか。タイブレーク導入はその終着点ではなく、根本的な解決への出発点にならなければならない。【安田光高、岸本悠】


     ■ことば

    タイブレーク

     野球やソフトボールで試合を早く終わらせるための制度。延長で同点の場合、規定の回から「無死一、二塁」「1死満塁」など複数の走者を塁に置いた状態で攻撃を始め、点を入りやすくする。タイブレークが始まる回に打順を新たに選べる「選択打順」と、前の回から続く「継続打順」がある。


    他の大会でのタイブレーク導入状況◇

    大会                開始回 状況     打順

    全国高校軟式選手権         十三回 無死一、二塁 選択

    U-18ワールドカップ       十回  無死一、二塁 継続

    明治神宮大会(高校)        十回  無死一、二塁 選択

    全日本大学選手権          十回  1死満塁   選択

    国民体育大会            十回  無死一、二塁 選択

    社会人都市対抗※          十二回 1死満塁   選択

    ワールド・ベースボール・クラシック 十一回 無死一、二塁 継続

    ※準決勝以降は5時間を超えると次の回から


    甲子園でこの10年間の延長十三回以上の試合数

    年  春    夏

    08 1(1) 0

    09 1    0

    10 0    0

    11 0    1

    12 0    0

    13 1    0

    14 3(1) 0

    15 0    0

    16 0    0

    17 3(2) 0

    ※( )は延長十五回引き分け再試合の数


    タイブレーク導入に至る出来事◇

    <2014年>

    3月 第86回選抜大会で広島新庄-桐生第一が延長十五回引き分けで6年ぶりの再試合。

    7月 日本高野連が全加盟校を対象に甲子園大会での投球制限やタイブレーク制度についてのアンケートを初めて実施。

    8月 全国高校軟式野球選手権の準決勝で、崇徳-中京が4日間に及ぶ延長五十回の死闘を繰り広げた。完投した両先発の球数は700球前後にも及んだ。

    <2017年>

    3月 第89回選抜大会で春夏通じて史上初となる2試合連続で延長十五回引き分け再試合。

    6月 日本高野連が47都道府県高野連に実施したタイブレークのアンケートで38連盟がおおむね導入に賛成。技術・振興委員会がタイブレークについて「導入はやむを得ない」との結論をまとめた。

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