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センバツ90/下 受け継がれる信念

指導する下関国際の坂原秀尚監督=山口県下関市の同校グラウンドで2018年2月21日、佐藤緑平撮影

 <第90回記念選抜高校野球>

     「一つのことを辛抱強く頑張れば夢はかなう。それを経験できるのが高校野球だと思う」。下関国際(山口)の坂原秀尚監督(41)の信念だ。無名だった現チームを2005年から率い、「片手間でやっても成功はない」と勝利にこだわるスタイルを貫く。地方大会上位に食い込むようになり、昨夏に続いて甲子園の土を踏む。

     元主将、金原直哉さん(24)は6年前に卒業し、現在は熊本市にある生鮮スーパーの企業チームの選手。「めちゃくちゃ怒られていた」と高校時代を振り返る。入部時、先輩たちはわずか5人。厳しい練習が続き、捕手として観察不足や配球の甘さを指摘された。「失点の責任を背負うことで我慢強くなった」

     大学を経て16年春に現チームに。直後に熊本地震で被災した後の1カ月間はボールに触らず、近隣農家で遅れていた野菜収穫のボランティアに当たった。「つらい時に何ができるか」と考える思考は野球部で身についた。現チーム監督の田中敏弘さん(48)は「人の見ていないところでも頑張れる」と太鼓判を押す。金原さんは社会人となった元部員らと会う度に思う。「高校時代がなければ、今のあいつらも、そして今の自分もない」

     「会釈 お辞儀の角度は15度、敬礼 角度は30度」「第一ボタンが見えなくなるようネクタイを一番上に上げること」。初出場する中央学院(千葉)の70ページ近い分厚いマニュアルは、日常生活の注意点も1割ほどを占める。

     相馬幸樹監督(38)は「社会に出て役立ててほしい思いがあった」と語る。根底にあるのは、社会人野球シダックス時代に聞いた、「人間的成長なくして技術的進歩なし」という当時の野村克也監督の言葉。考え方や心構えを磨くことで、プレーにも違いが出てくる。そう教えられた。

     今は選手が監督方針を受け継ぐ。主戦で4番の大谷拓海投手(3年)は「部で礼儀を覚えて人間的にも成長した。甲子園で校歌をたくさん歌い、支援してくれた方の恩に報いたい」。

     両チームともここ最近、監督のリーダーシップの下で急成長してきた。だが、目指しているのは、卒業後も社会で活躍できる人材だ。坂原監督は言う。「野球で自信を付ければ、後は自分で伸びていけるはずです」(この連載は畠山哲郎、礒野健一、池田美欧、中村紬葵、富美月、佐藤緑平、田崎春菜が担当しました)

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