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高校野球・新世紀

第6部 制限される現場/1 練習減 運用模索 生徒の意欲と両立悩み

練習に励む公立校の球児たち=仙台市内で2018年5月15日、佐藤裕太撮影

 高校野球をする環境が以前より厳しくなっている。練習時間の制約や金銭的な負担の増加、部員不足……。その原因を掘り下げると、社会情勢の変化などさまざまな外的要因が見えてくる。第6部では、制限された現場の実態を報告する。

 ほぼ毎朝行われる練習で打撃を磨く仙台三(宮城)の選手たち。だが、この朝練習は近い将来、なくなるかもしれない。

 宮城県教委は3月末に「朝練習の原則禁止」を打ち出した。最終的な運用は現在、各校に委ねられ、同校は禁じていない。県内有数の県立進学校ながら、昨夏の宮城大会で4強。午後7時に完全下校の決まりだけに、1時間弱の朝練習は貴重だ。佐藤純二監督(43)は「教員の多忙化対策は評価できる」とみる一方で「学校の実情に応じた裁量が認められると思うが、どの程度なのか」と懸念する。

 スポーツ庁は3月、教員の負担軽減を目的に練習時間を「平日2時間、土日曜日3時間程度」などと定めた「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」=ことば=を策定した。県教委によると、特別支援学校を含む県立学校では、正規の勤務時間外に「過労死ライン」の月80時間以上勤務した教職員は2013年度の調査開始から上昇を続け、16年度が28・5%。その半数が「部活の指導」を理由に挙げた。

 県教委は練習時間を制約するため、国の指針に「朝練習禁止」を加えた。担当者は「朝晩に練習があると、教員だけでなく、生徒にも負担過重になる」と説明する。ただし、競技特性や現場の意向などを無視した一律の規制は現実的ではなく、最終的な運用方法については各校とも現在は「検討段階」で今後は見通せない。

 昨年から朝練習を始めたある県立校の監督はガイドラインについて「生徒の向上心にどう応えるか難しい」と悩む。別の公立校は平日練習時間を部員の意向と保護者の承認を踏まえ、学校で定めている時間から1時間延長している。監督は「部員は100%、しっかり練習して上手になりたいと思っているはずだ」と断言する。

 私立校は独自に方針を決められるため、ガイドラインの基準通り運用する公立校は私立校との練習量や実力差をさらに広げられる可能性が高い。佐藤監督は「今までより練習が減れば、強豪私立に太刀打ちできない」と懸念する。公立校の選手の意欲を失うことにもなりかねない。

 今後、各校ではガイドラインを実際にどう運用するのか。罰則規定がなくても、厳密に守るのか。選手の思いも踏まえ、難しい判断を迫られる。【佐藤裕太】=つづく


 ■ことば

運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン

 スポーツ庁が中高の運動部について策定。活動時間を「平日2時間、休日3時間程度まで」、休養日を「平日1日以上、土日1日以上」の週2日以上を基準とする。罰則規定は盛り込まれていない。都道府県教委や市区町村教委、学校法人などがこれを基に方針を示し、それを受けて校長が各校の方針を定めるよう求めている。

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