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高校野球・新世紀

第6部 制限される現場/4 入試改革の余波 減る部員、苦難と工夫

廃校になった小学校のグラウンドでトス打撃をする堀川の選手たち=石川裕士撮影

 大分駅から山あいのJR豊肥線で50分。三重町駅から徒歩15分ほどの距離に、豊後大野市内唯一の高校の三重総合がある。2006年に4校が統合して開校。野球部員数はかつて1学年で30人を超えたが、今年の新入部員は7人だけ。那賀誠監督(51)は「豊後大野市内で目を付けていた選手は5人とも大分市の高校へ入った。全県1区の影響もあると思う」と苦笑する。

 文部科学省によると、昨春時点で24都府県が学区を撤廃。大分県は08年度から「全県1区」を導入して県内全高校に進学可能になり、豊後大野市の中学生がそれまで別学区だった大分市の高校を選択できるようになった。各校の野球部員数(マネジャーを含む)について08~12年度と13~17年度の平均を比較すると、三重総合は25人減少。逆に大分市内は2桁増の学校もあった。

 三重総合は昨秋の大分大会で初めて4強入りしたが、部員増につながらない。大分市内のある公立校の監督は「進学実績や就職実績の違い、学校のイメージ、親御さんの感覚など総合的に大分市内のほうが人気が高い感覚はある」と指摘する。

 那賀監督は「地域の子を応援したい、と地域の人が思えるのが高校野球ではないか」と訴える。確かに高校野球にはその地域で育った選手を地域が応援して盛り上がる側面があり、都市部の部員数の偏りは高校野球のあり方を問いかけている。

 入試制度改革で都市部でも部員数が落ち込んだ公立校がある。京都市立の進学校の堀川。文武両道を実践し、13年センバツでは21世紀枠の近畿地区候補校に選ばれた。だが、翌春から入試制度が変更され、2コースに分かれていた普通科を一本化。野球部員はそれまで難易度の比較的低かったコースに多かったが、入学のハードルが高くなった。毎日遅くまで練習する野球部は敬遠され、1学年15人前後だった部員は約3分の1に減った。

 存続すら危ぶまれる状況を受けて谷正幸監督(60)は部員の勉強時間確保のため、一昨年夏から平日の練習場所を変更。学校から片道30分かかる自校グラウンドではなく、片道5分で着く廃校の小学校のグラウンドにした。移動時間が往復50分短縮した分、練習終了時間を午後7時から同6時に早めた。学業優先の取り組みが奏功し、今年の新入部員は8人とやや盛り返した。

 谷監督は「勉強だけでなく、野球でも目指してもらえる学校になれれば」と力を込める。教育制度改革の余波を受け、苦難を強いられる野球部もある。【吉見裕都、石川裕士】=つづく

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