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甲子園で校歌を

藤蔭28年ぶり夏の挑戦/下 監督は28年前の主将 歴史やつながりに感謝 /大分

 優勝を決め、整列を終えると、藤蔭の選手たちは原秀登監督のもとへ一斉に走っていった。「わーっしょい、わーっしょい」。監督の胴上げだ。胴上げはさらに、野球部の副部長としてベンチに入っていた石井潔校長へと続く。「ありがとうございました!」。野球部を支えた2人への感謝の言葉が相次いだ。28年ぶりに甲子園の土を踏む藤蔭。ようやくの悲願を達成した裏には、歴史や人とのつながりがあった。

       ◇  ◇

     「ありがとうございます。やらせてください」。10年前の夏の大分大会が終わった後。大庭憲幸校長(当時)に「監督をやる気はあるか?」と聞かれた野球部OBは即答した。地元の中学硬式野球クラブのコーチからの転身。原監督の就任が決まった瞬間だった。

     大庭さんは、なるべくみんなが一つになれるよう、監督にはOBから迎えようと決めていた。実は、原監督は28年前の初優勝メンバーだ。1番ショートという重責を担い、主将としてチームを率いた。開会式では、選手宣誓もした。だが、甲子園での勝利は果たせなかった。

     「高校生の時は、優勝してお祭り騒ぎになっただけで満足してしまったのかもしれない。選手たちにはそれでは駄目だと伝え、“大物食い”をしたい」。優勝後、駆け寄ってきた大庭さんと抱き合って泣いた。自分の経験を生かし、28年間の思いをぶつける。

     石井校長は、甲子園から部長としてベンチに入る。福岡県久留米市の田主丸中学などで野球部の監督を28年間務めた経験を持つ。「甲子園に行きたい」という思いが高じ、2014年に藤蔭の総監督、16年からは副部長としてチームを内外で支えきた。

     「選手たちの健康面などをみてくれないか」。3年前。田主丸中出身で、スポーツ選手のリハビリなどに携わるアスレチックトレーナーの梯(かけはし)誠剛さん(25)に声をかけた。梯さんはトレーナーとして選手の健康管理のほか、打力向上の鍵となった筋力トレーニングなどの調整を担い、優勝の立役者になった。若林隆信総合コーチ(44)も石井校長の勧誘だ。中日や広島でプレーした元プロ野球選手で、佐賀県で中学生相手に野球のコーチをしていた若林さん。所用で藤蔭を訪れた際、石井さんが「リクルート」したという。

     チームを支える人材を集めた石井さんは、選手たちに「周りから自然と応援してもらえるような全力プレーを甲子園でも見せてほしい」と期待する。

       ◇  ◇

     選手が練習する日田市の平野球場には連日、多くの見学者が訪れる。監督に握手を求める昨年のチームの主将の祖父、28年前の甲子園のスタンドで応援していた野球部OB、甲子園で着るユニホームの採寸に来たスポーツウエアメーカー勤務の野球部OB……。

     原監督は「いろんな人たちに支えられていることを選手たちにはこれからも深く理解していってほしい」。人とのつながりに感謝しながら、選手たちは「甲子園で校歌を歌う」と燃えている。(この企画は田畠広景が担当しました)

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