高知県檮原(ゆすはら)町に住むオランダ人の和紙工芸作家、ロギール・アウテンボーガルトさん(54)は、原料となる楮(こうぞ)や三椏(みつまた)を畑で育て、自然のわき水で紙をすくなど妻千賀子さん(56)と里山暮らしを実践する。東京都港区立エコプラザ(毎日新聞社などで設立した「毎日アースデイ」が運営)で紙すきの講座を開くロギールさんに、持続可能な社会のあり方などについて聞いた。
--和紙の原料を自らつくる意義は。
◆今年でちょうど来日30年。アムステルダムの製本工房に勤めていたとき、日本の和紙と出合い、魅了されたのがきっかけ。畑を耕し、楮や三椏などを植え、野菜も栽培する。農薬を使わないから水や土壌を汚すことや生き物の生態系への影響も少ない。和紙づくりの仕事と自然や農家の暮らしは密接につながっている。
--夫婦で運営する民宿「かみこや」は。
◆工房を建てる際、紙すき体験の場をつくろうと4年前に始めた。部屋にテレビはなく食事はオーガニック(有機)。静かな山里に一晩でも泊まれば2時間のワークショップでは得られないことを感じるはずだ。オランダは森が少ないが、日本は豊かな森林がある。都会の人は自然のあるところに足を運ぶ。どんな生活が環境にいいかは自分で気づくしかない。
--持続可能な社会にするには。
◆国が環境政策をきちんと打ち出すことが重要。このまま化石燃料に依存した社会でいるのか、自然エネルギーへの転換を図るのか。国が決めれば、企業も従わざるを得ない。
--市民は。
◆心に余裕がないとエコは無理。残業をなるべく減らせば、パソコンやオフィスの電気代の節約になる。家でも、ろうそくの明かりで夜を楽しむ。ゆとりある生活をつくり上げることが大切だ。【明珍美紀】=次回は30日掲載
==============
http://mainichi.jp/life/ecology
毎日新聞 2010年3月16日 東京朝刊